
子どもはみんな大好きなチョコバナナ。神奈川県葉山町にある専門店「コニーのチョコバナナ」代表の小西毅さん(63)がその魅力のとりこになったのは3年前。チョコバナナに染まった日々を送り、昨年、日本チョコバナナ協会の初代会長に任命された。「子どもたちに笑顔になってもらいたい」と精力的に活動している。【横見知佳】
コニーの愛称で呼ばれる小西さんの作るチョコバナナは、食べるのがもったいなくなるような、ひょうきんな顔をしているのが特徴だ。目はたまごボーロ、鼻はマシュマロ、口はスナック菓子。ポテトチップスで模したカウボーイハットもかぶっている。
キッチントレーラーからは、完成作を見て驚くお客さんの顔が見える。バナナにもこだわり、藤沢の市場で買い付ける大ぶりで薫り高いエクアドル産。追熟させて食べごろのタイミングで提供する。
チョコバナナとの出会いは2022年。町内会の夏祭りの出し物を企画していた時、特別なもので子どもたちを喜ばせたいと考え、頭に浮かんだ。でも、機械をレンタルして簡単に作ることのできるポップコーンや綿あめとは違い、作り方がよく分からない。チョコを均一にコーティングするのは難しく、練習に励んだ。デコレーションにもこだわった。
「自己流で何度も作り直した。なんであんなにムキになったのか、今となっては思い出せません」
子どもたちは大喜びしてくれた。お祭りでしか手に入らない特別な食べ物だったチョコバナナ。「一年中あったら面白いのではないか」。子どものころに駄菓子屋になることが夢だったことも思い出し、週末に屋台での出店に挑戦すると、引っ張りだことなった。
「チョコバナナ一本でいく」。昨年末、約30年間働いた米海軍横須賀基地内のスーパーの仕事を辞めた。水曜日は自宅前のトレーラーで販売するほか、小学校の行事で生徒と一緒に出店したり、アーティストにケータリングしたり、さまざまなイベント会場に赴く。
「日本チョコバナナ協会」の会長に就任したのは24年4月。使用するチョコレートの製菓会社「パイオニア企画」(横浜市)が協会を立ち上げ、「初代会長になってほしい」と声がかかった。
「チョコバナナに導かれるように、いろいろな経験をさせてもらいました」。24年5月、能登半島地震の被災地である石川県輪島市に、子どもたちを元気づけたい一心で、チョコバナナと共に駆けつけた。だが、子どもの姿は少なかった。「復興するにつれて多くの子どもたちが帰ってくるはず。必ず再訪したい」
夢は「チョコバナナ博」の開催だ。バナナやチョコレートの産地を紹介したり、温暖化など環境問題を啓発したりして、ファンを増やす構想を描く。
「私はチョコバナナに選ばれたような気がしている。みんなを笑顔にするのが会長の使命だ」
こにし・たけし
1962年生まれ。「コニーのチョコバナナ」(葉山町一色1437-3)は水曜午後2時~同6時営業。週末の出店はインスタグラム(@koni_chocobanana)で発信する。趣味は約10年続けるDJ。アイドル風やラップ調などの店頭で流れるチョコバナナのオリジナルソングはAI(人工知能)を使って作った。
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