有料老人ホーム開設時の登録制導入などの案を議論する厚生労働省の有識者検討会=東京都港区で2025年10月3日午後2時、寺原多恵子撮影

 厚生労働省の有識者検討会は3日、中重度の要介護者が入居するなどの一部の有料老人ホームについて、新たな施設の開設時に登録制を導入するなど、規制を強化する案をおおむね了承した。現行は、自治体への届け出制。行政の関与を強め、運営の透明性を高める狙いがある。

 厚労省がこの日示した素案によると、登録制の対象は、中重度の要介護者のほか、医療ケアが必要な要介護者を入居対象とする有料老人ホーム。開設後も、不正行為などで行政処分を受けた事業者で、役員などの組織的関与が認められる場合には、一定期間、事業所の開設を制限する仕組みの検討も必要だとした。

 有料老人ホームは近年増加傾向で、系列の介護事業所を使って過剰な介護サービスを提供する「囲い込み」や、紹介業者による高額な手数料の請求などの問題が指摘されている。

 検討会では、これらについても議論。案では、「囲い込み」の対応策として、入居するホームと関係のある介護事業所の利用を契約条件とすることや、利用する場合に家賃で優遇するといった条件をつけること、ケアマネジャーの変更を強要することを禁止するよう求めている。

 厚労省は、近く検討会の報告書を取りまとめる予定。制度改正に向け、来年の通常国会に関連法案を提出することも視野に、議論を進める。【寺原多恵子】

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