
坂口志文さんは6日夜、毎日新聞の単独インタビューに応じ「成果を出すには時間がかかる。研究者が持続できるための支援とともに、若い研究者にも持続する力を持ってほしい」と若手研究者にエールを送った。
一方、国内外の研究環境については危機感を覚えている。自身の研究で重要な転機となった米国は、トランプ政権下の研究費削減で多くの研究者が影響を受けている。「大変な時代になった。研究費をカットされたり、国外で研究の機会を求めても今度は米国に帰れなくなったりするなど、多くの人が影響を受けている」とおもんぱかる。
国内でも、基礎研究に対する公的支援が先細りしている。「同じGDP(国内総生産)のドイツと比べ、日本の免疫学の研究資金は3分の1。研究資金への支援をお願いしたい」と注文した。
記者が用意した色紙には、好きな言葉として「素心」としたためた。飾らない素直な心を意味するが、長く自説が受け入れられなかった不遇の時代にも、自分が見つけた現象を突きつめてきた研究人生そのものを表しているという。「信念を曲げずにあきらめないことは、研究だけでなく何事にも共通する。その先に、大きな喜びや楽しみがあるんでしょうね」と笑顔を見せた。【田中韻】
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