
経済協力開発機構(OECD)は7日、加盟国などを対象とする2024年の「国際教員指導環境調査」(TALIS、タリス)の結果を公表した。日本は、1週間の業務時間が小学校で52・1時間、中学校が55・1時間で、いずれも前回18年調査に続き最長だった。教員の働き方改革が叫ばれて久しいが、依然として各国との比較でも多忙ぶりが際立つ結果となった。
調査は5~6年に1度実施されており、今回で4回目。小学校は16、中学校は55の国・地域からそれぞれ約200校が抽出され、校長や教員が業務時間や課題について回答した。この調査の業務時間には、土日や夜間に自宅などで行う「持ち帰り残業」も含まれる。
前回から微減も世界平均から10時間超
日本の常勤教員の1週間あたりの業務時間は、前回調査との比較では小中学校のいずれも4・0時間減った。ただ、国際平均は小学校40・4時間、中学校41・0時間で、日本がそれぞれ11・7時間、14・1時間上回った。
前回調査以降、国は残業時間の上限を導入し、部活動の外部化も促してきた。文部科学省はこれらの取り組みが一定の効果を生んでいるとしつつ、「知・徳・体」全てをバランス良く教え、日本の学校教育の特徴とされる「全人格的教育」が業務時間の長さに影響している可能性もあるとみている。
業務時間の内訳で国際平均より長さが目立ったのは、部活動など中学校の課外活動=5・6時間(国際平均1・7時間)、小学校の事務作業=4・5時間(同2・7時間)、中学校の事務作業=5・2時間(同3・0時間)など。前回との比較ではそれぞれ0・9~2・5時間減少した。
教員不足も要因か
一方、質の高い指導を行う上で不足している教育資源を校長に尋ねる設問では、「教員」との回答が小学校で40・7%で前回の19・2%の2倍超に上った。中学校では35・6%で前回より8・1ポイント増えた。いずれも国際平均より10ポイント以上高かった。
文科省の担当者は業務時間について「依然として課題はあるが、方向性としては改善している」としつつ、教員不足については「真摯(しんし)に受け止め、重要なこととして対応していく」としている。【斎藤文太郎】
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