ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まり、花束を受け取る坂口志文さん(右)=大阪府吹田市で2025年10月6日午後8時3分、大西岳彦撮影

 2025年のノーベル生理学・医学賞に決まった坂口志文さん(74)の一問一答は次の通り。

 --今回の受賞決定に際し、感想は。

 うれしい驚きということに尽きる。私たちのやってきた研究が臨床で役にたつ、もう少し発展するとそういうご褒美もあるかと思ったが、この時点で名誉をいただいたのは驚きだ。

 --自己免疫疾患の患者に報告したいことは。

 医学は進歩していく。まだまだ治療法を見つけるべき病気はたくさんあり、その一つが自己免疫疾患。有効な治療法は必ず見つかると信じている。

 --科学者を志す子どもたちに向けて伝えたいことは。

 世の中には興味のそそることがたくさんある。自分で興味のあることを大切にし、それをずっと続ければ新しいものが見えてくる。気がついたら非常に面白い境地に達している。そうなればサイエンスに限らずどんな分野でも面白いと思う。

 --長らくノーベル賞候補と言われていた。

 サイエンスの分野は非常に広い。免疫学の中にもいろんな良い研究成果があるが、その中で選んでいただいたことは非常に光栄。

 --受賞したら何がしたいか。

 仕事ができる間は仕事を続けたい。あえて言えば、今までは基礎研究をやってきたが、実際の人の疾患や病気の治療・予防に具体的につながるようなことをやっていきたい。

 --坂口さんにとって制御性T細胞とは何か。

 研究すればするほど新しいことが分かってきて、研究の醍醐味(だいごみ)を味わうことができる。免疫反応をいかにコントロールできるのか、ということについて理解が進んできたことが我々にとってはうれしい。

 --家に帰ってしたいことは。

 ゆっくりお風呂に入って寝たい。

 --子どもの頃の夢は。

 私たちの頃は、湯川秀樹さんがノーベル賞をもらった時代で、子どもなりに科学者はすごいなと思っていた。でも、実際自分にそんな才能があるか分からないので、本当に普通の子どもだった。

 --今後、研究がどう伸びてほしいか。

 どんながんに対しても安全で効果があり、医療経済的にも可能ながん免疫療法をやりたい。免疫反応を抑えることに加えて免疫反応をあげること、その両にらみで発展すれば。

 --振り返って一番大変だったことは。

 若い時は何をやっても苦労しているとは思わない。振り返るともう少し研究資金があれば仕事が進んだというのはあるが、総じてそれなりにやってこられた。本当に考え方による。

 --座右の銘は。

 四字熟語のような信念はない。今、自分に言い聞かせるとすれば「一つ一つ」。

 --日ごろの息抜きは。

 いろんな本を読むこと。後は散歩したり歩き回ったりする。海外に行く機会も多いので、その時に博物館や美術館を訪ねている。

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