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<疲れたときこそやるべきことがある──これらの行動を試してみることで、「精神を痛めている原因」が見えてくる>

精神が疲れたと感じるときは、いたわるための行動をしてみよう。アメリカ在住の著述家ブリアンナ・ウィースト氏は、「精神のデトックスをすると自分の問題があらわれる」という。

ウィースト氏が執筆したベストセラー『成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略』(かんき出版)より一部内容を再編集し、精神をリセットし、自分軸をつかみなおす18の方法を紹介する。

※第1回はこちら:「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に共通する特徴、絶対にしない「15の法則」とは?

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自分の考え方は自分でコントロールできる

自分の身体をいたわるということに関しては、まだまだ学ばなければならないことがたくさんある。しかし、自分の精神をいたわることとなると、それ以上にわからないことだらけだ。

私たちの経験は脳内でつくられている。そして、脳内の考え方を変えることができる要素の多くは、完全に自分でコントロールできるのだが、自分ではそのことにまったく気づいていない。

精神のデトックス方法をいくつか紹介しよう。無意識のうちに刷り込まれていた偏見や思い込みを取り除き、精神を再びまっさらな状態に戻すことができる。

自分の軸をつかみなおす18の精神デトックス法

01/旅行で異文化を体験する。

自分のなかにある「普通」の基準を変える。そうすると、周りの環境の影響を受けて無意識のうちに身につけていた態度、価値観、思い込みの存在に気づくことができる。

02/感情の問題を物理的に解決する方法を見つける。

私たちは、感情の問題は別の感情でしか解決できないと思い込んでいる。落ち込んだら、気分がハイになることをして、落ち込みを帳消しにしようとする。

ネガティブな感情に本当に必要なのは行動なのだが、頭を少ししか使わず、言い訳ばかりして行動から逃げている。精神のデトックスとは、ハイな感情を手放し、実際の解決策を探ることだ。

03/毒になる感情は抵抗から生まれる。

自分である種の感情を創造しようとするのではなく(これをしたら、こういう感情になる、というように)、今この瞬間に感じていることを全面的に受け入れてみる。本当に感じていることに抵抗していると、当面は何も感じないですむかもしれないが、その裏では毒になる感情が蓄積されている。

04/自分を縛りつけているものを特定する。

目の前にある問題は、実際はあなたの後ろにある。それはあなたが立つ地面に入ったひびであり、あなたの前進を阻んでいる。症状をなくそうとする努力はもうやめよう。大切なのは、後ろを振り返って本当の原因を見つけることだ。

05/長いドライブで道に迷う。

存在も知らなかったような場所をドライブする。そこに住んでいる人たちの暮らしぶりを見る。仕事から帰ってくる彼らを見て、外からリビングのようすを見る。

すると、自分の存在の小ささを実感することができる。ただ大海原を眺めるよりも実用的な方法だ。人は自分が何を知らないかを知らないものだ。

06/部屋の模様替えをする。

あなたの脳は、周りの小道具や、その小道具が発するシグナルを通して経験を構築している。ネガティブな感情や停滞感が続いているなら、周りからそのようなシグナルを受け取っているからだ。周りの環境を変えれば、思考が変わり、感情が変わる。

07/精神の大掃除をする。

頭から離れないおかしな考えや、支離滅裂な考えを紙に書く。そうやって思考を外に出すだけで、頭がすっきりするだろう。

08/デジタル生活を再構築する。

SNSをまったく使わないのは現実的ではない。多くの人にとっては、望ましい状況でさえないだろう。しかし、自分のためにならないとわかっているのにSNSを使い続け、それでまったく悪影響を受けないと考えるのも非現実的だ。

見たくないものをフォローから外すだけでなく、それに加えてポジティブなアカウント、グループ、組織、出版物をフォローに加えるようにしよう。

09/自分の無意識の動きを自覚する。

自分の歩き方を観察する。意識的に脚を動かしているわけではないのに、脳から「さあ、あそこまで行こう」という指令が出て、実際にあなたは前進を始める。朝起きたらいちばんに考えることも、同じように意識してみる。

10/身のまわりからネガティブな感情がつきまとうものを取り除く。

自分以外の人になりたいと思って買った服はないだろうか? 人生がとりわけうまくいっていない時期に買った雑貨が部屋のなかにないだろうか? それらを手放そう。それが自分をどんな気分にさせるかということを基準に、手放すものを決める。

11/自分の現在地を確認する。

紙を1枚用意して、縦に2本の線を引いて3つの欄をつくる。左の欄に、これまでの人生で大きな達成だと感じることをすべて書く。真ん中の欄には現在の毎日の生活で必ずすることを書き、そして右の欄にはその習慣がどんな結果につながるかということ、自分が将来したいことを書く。

これで人生を大きな視点で眺めることができる。目の前のことばかりに追い立てられていると、不安を感じやすくなる。

12/有害な思考のサイクルにはまるたびに物理的に身体を動かす。

それが身体にとって新しい経験になり、今この瞬間に集中できるようになる(オフィスで椅子に座っているときでもできる簡単なことだ)。

13/脳をストレッチする。

興味のある題材の本を読み、それについてさらに知識をつける。自分なりの理論がある分野についての論文を読む。自然に興味が持てるようなことを積極的に行い、それを通して何かを学ぶ。最低でも、周りの世界について少しは知識が増えるだろう。

14/人とのつながり方を見直す。
人との交流のほとんどが、たとえ近くにいる人とでもデジタルを介して行われていて、実際に会って話すときもしょっちゅうスマホにじゃまされているのなら、人とのつながり方を見直したほうがいい。

生身の人間よりも画面を優先するのは、極度に不安の大きいライフスタイルにつながるということを自覚しよう。

15/何かに依存しているせいでおろそかになっているものを特定する。

人々が苦労するもののほとんどは、何らかの形の依存症だ。本当にしたいわけではないのに、それでもやめられないのが依存症だ。

依存症は自分とのつながりが切れた状態であり、そしてつながりが切れるのは、目の前にあるけれど直視できない(と思っている)何かが原因だということを理解する。

16/「合格点」は「完璧」の対義語ではないということを理解する。

もっとも安心できる、心が軽くなるものがひとつだけあるとしたら、「合格点」を文字通り合格と受け止め、満足することだ。

17/人生から人に見せるだけの部分を取り除く。

人よりも少しだけカッコいい、少しだけ偉い、少しだけいい人生に見せるための努力ほど、私たちの精神を疲弊させるものはない。そのような努力は、意図したものとは正反対の結果になる。

壮大な理想を語ったり、何かに執着したりすると、自分が本物の人間ではなく、キャラクターを演じる役者になる。その結果、人生は小さくてシンプルだが、それで十分だと受け入れることができず、心から楽しいと思える経験から自分を遠ざけることになるのだ。

18/他人の嫌いなところを紙に書く。

そこに書かれたことは、あなた自身やあなたの人生で変えなければならないが、心理的な抵抗が大きくて行動できずにいることだ。それらの問題が表面に出ていることは少ない。

お隣さんにイライラするのは、いつもランチに誘ってくるからではない。必死に友達になりたがっているように見えるその態度のなかに、自分自身の本心を見ているからだ。あなたも友達が欲しいのだが、その気持ちを表に出すのは恥ずかしいと思っている。

精神のデトックスをすると、自分の問題が見えてくる

このリストを見れば、自分の人生の問題がわかる。このリストが重要なのは、問題を理解することが、解決策を見つけることにつながるからだ。

何をすればいいのかわからないのは、何が問題なのかわからないからだ。そして何が問題なのかわからないのは、あなたのなかの一部がそれを見たくないと思っているからだ。

※第1回はこちら:「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に共通する特徴、絶対にしない「15の法則」とは?


 『成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略』
   ブリアンナ・ウィースト[著]
   桜田直美[訳]
   かんき出版[刊]

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著者

ブリアンナ・ウィースト(Brianna Wiest)
アメリカ出身・在住の著述家・詩人。エリザベスタウン・カレッジで英語の学士号と文学の名誉博士号を取得。大学院卒業後は、ジャーナリストとして、フォーブス誌やUSAトゥデイ紙などで活躍。著作はこれまで40以上の言語に翻訳され、世界で累計数百万部以上売り上げている。邦訳書に『感情戦略』(日経BP)がある。

翻訳者

桜田直美
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。訳書は『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』『THE CULTURE PLAYBOOK 最強チームをつくる方法 実践編』(いずれも小社刊)、『スタンフォードの脳神経科学者が証明! 科学がつきとめた「引き寄せの法則」』『アメリカの高校生が学んでいる投資の教科書』(いずれもSBクリエイティブ)など多数。

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