リノベーションされた川西市立多田東小の図書室(兵庫県川西市提供)

 築40年以上の小学校の校舎の図書室が、児童と保護者、教員の手でリノベーションされた。みんなのアイデアが詰まった図書室は児童に大好評。読書の秋、本を手にした児童が思い思いの時間を過ごす場になっている。

 DIY(自作)での改修に挑戦したのは兵庫県川西市東多田3の市立多田東小。きっかけは、松延正登校長(50)の「子どもや地域の皆さんに愛着をもってもらえるような図書室にしたい」という思いからだった。

 今年の夏は猛暑が続き、熱中症警戒アラートが毎日のように発表された。外遊びやプールで泳ぐこともできず、子どもたちもフラストレーションがたまっていくなか、くつろげる場所を作りたいと思ったという。

 学校は図書ボランティアの保護者や児童らにも改修への協力を呼びかけた。それぞれの意見も聞き、築40年以上の校舎2階の一室にある図書室(約80平方メートル)を生まれ変わらせるひと夏の目標が生まれた。

 改修作業は7月下旬の2日間、約40人が参加。話し合いながら安心、安全な見通しの利く配置を考え、さまざまな工夫を凝らした図書室が完成した。

図書室の改修作業をする保護者ら(兵庫県川西市提供)

 本棚を移動させたり、床に布タイルを敷いて素足でくつろげるようにしたりした。危ないと思った机や椅子の脚に、使わなくなったテニスボールを再利用した。柱、壁に空や雲を描いて、「ジャックと豆の木」のような世界を演出した。本棚の位置が変わっても児童らがわかるように案内表示を付けた。

 2学期の始業式には1年児童らにお披露目され、「すごく変わった」「前より明るくなって、きれい」と喜んだという。

 現在、図書室は毎日、開放され、昼休みに児童らが好きな本を手にして過ごしている。高学年児童による読み聞かせも企画もされているという。

 松延校長は「新しい図書室は、とても評判が良いです。一体感が生まれ、いろんな使い方をみんなが考えてくれています」とほほ笑む。【桜井由紀治】

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