音楽は聴くだけでなく実際に歌ったり演奏したりするといい GROUND PICTURE/SHUTTERSTCOK

<生涯を通じて音楽活動に親しめば記憶力や問題解決能力が保たれるとの研究が>


▼目次
楽器演奏で「脳が強くなる」理由
認知症患者にも広がる「音楽の力」

年を取っても楽器の演奏や合唱を続けていれば、認知症のリスクを減らせるかもしれない。

英エクセター大学の研究チームが2024年1月に学術誌「国際老年精神医学ジャーナル」で発表した論文によれば、何らかの形で音楽の活動や創作に関わっている人は、そうでない人に比べて高齢になっても脳の機能を維持できる可能性が高い。とりわけピアノはいいそうだ。

認知症の専門家で今回の研究チームの1人である同大学のアン・コーベット教授によれば「音楽に携わり、特に楽器の演奏を学んだ人は高齢期に入ってもより良い脳機能を維持していることが確認できた」。

イギリスには加齢と健康の関係をオンラインで調べるオープン参加型の研究プログラム「PROTECT」があり、約2万5000人が登録しているが、今回はそのうち約1100人が研究に協力した。

「楽器、なかでも鍵盤楽器の演奏が記憶力や問題解決能力の向上につながることは知られている」とコーベットは言う。「特に高齢期に入っても演奏を続けている人に最も良い結果が出ている。生涯現役で音楽に関わることが重要と考えられる」

楽器演奏で「脳が強くなる」理由

データを解析すると、若い頃から一貫して音楽活動に関わっている人ほど、高齢期に入っても認知能力が高かった。また年を取っても演奏を続けている人では、その傾向が一段と顕著だったという。コーベットによれば「金管楽器や木管楽器の演奏も記憶力の向上に役立っている。合唱も、複雑な課題の遂行能力と関わっている」そうだ。

【参考文献】
Vetere G, Williams G, Ballard C, et al. The relationship between playing musical instruments and cognitive trajectories: Analysis from a UK ageing cohort. Int J Geriatr Psychiatry. 2024;e6061. DOI: 10.1002/gps.6061

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【note限定公開記事】音楽を続ける人は「認知機能が衰えにくい」──演奏と記憶力の関係を英研究が示す


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