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<モデル活動をしていた時には「白人に見えない」という理由で黒人部門に振り分けられた過去もあるという女性。友人の一言でそれまでの考えが大きく変わったと語る>
2児の母でありロンドンで生まれ育った白人女性のナッシュ・コープは、10年以上にわたって黒人のルーツを持つ「ミックス」だと誤解され続けてきた。実際は、人種的に白人に分類されるイギリス人とポルトガル人の間に生まれた彼女だが、そうした誤解を受ける理由はただ一つ。その「容姿」だ。
■【写真】「お母さんが黒人と浮気を?」...容姿が「白人に見えない」と言われ続けてきた白人女性
日焼けした肌にカールした髪の毛などにより、他人から「純粋な白人」と見られることはほとんどないという。「お母さんが浮気したんじゃないの?」というような無神経な冗談を言われたことも一度や二度ではなかった。
最近になってコープはインスタグラム(@nushcope)で、自身の人種的な生い立ちに対する人々の思い込みが、成人後のアイデンティティーの混乱にどうつながったかを明かした。「ちょっと混乱していた」と、32歳のコープは本誌の取材で語った。「私は白人家庭で育ったので、人が想像するような『ミックス』の経験はしていない」
「当時は、自分のアイデンティティーや自分が何者なのかがはっきりしていなかった。若かったし、まだいろいろ模索している時期だったので、あまり気にしていなかった」
モデルとして活動していた頃には、「ブラック・ディビジョン(黒人部門)」に分類されたこともある。「私のアイデンティティーとは違うし、本物ではないと説明した」とコープは話す。「『自分のものではない場所を占めるのは気が進まない』と伝えた。この業界では、有色人種の女性に与えられるチャンスは限られている」
「白人に見えない。クライアントが混乱する」
だがエージェンシー側は、「君は白人に見えない。クライアントが混乱する」と答えたという。「すごく矛盾していた。事実がどうなのかではなく、社会がどう認識するかに基づいて、私が何者であるべきなのかを指図してきた」
こうした経験を経て、コープは人々の誤解をいちいち正すより、そのまま受け入れたほうが楽だと感じるようになった。訂正しようとすると、「混乱と驚き」の反応に出くわすことが多かったからだ。「不安になった」と、彼女は言う。「みんなが私を枠にはめようとしてきて、私はただそれに屈してしまっていた」
「一方で、黒人のコミュニティーからはすごく受け入れられていると感じていた。何も言わず、そのまま溶け込む心地よさを感じていた」
やがてコープは、自分自身でも「ミックス」であるかのような感覚を持つなったという。しかし、親しい友人とのある会話が彼女の考えを変えるきっかけになった。
「すごく優しく、私を支えるような口調で友人が、『それは違う』と言ってくれた。彼女は、私には語るべき歴史がないし、それを生きてきた経験もないと説明してくれた。彼女の言う通りだった」
この出来事をきっかけに、コープは自身のアイデンティティーとルーツを理解するための「学びと癒しの旅」を始めた。学校で習ったはずのイギリスにおける人種と不平等の歴史を、改めて学び直したという。
「白人女性として人種差別に立ち向かう意味」
その中で彼女は、人種とは人々を分断するために作られた「社会的概念」だと捉えるようになり、肌の色によって特権が与えられている現実を認識した。「それを理解したとき、自分が『黒人』だと主張するのは間違っていると確信した」とコープは本誌に語った。「自分のため、子どもたちのため、そして人類のため、私はありのままの自分でいる必要があった」
「ようやく、ありのままの自分で『十分』だと感じられるようになった」
そのうえで彼女は、「白人であるというアイデンティティーにしがみつきたいとは思っていない。歴史的な重い意味を考えれば、なおさらそうだ」という。
「でも自分の立場や特権を理解し、それを基に人種差別や不平等に白人女性として立ち向かう方が、自分を偽るよりずっと意味があると気づいた」「偽ることに力なんてない。それは強さじゃなく、現実逃避だ」
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