各地でクマによる被害が深刻となる中で、ユネスコの世界自然遺産・白神山地のふもとで捕獲されたツキノワグマの肉を使った青森県西目屋村の特産ブランド「白神ジビエ」に注目が集まっている。駆除したクマを活用する取り組みやその肉のおいしさがSNSで話題となり、タイミングよく新商品も加わった。

 「白神ジビエ」は、村が専用の食肉加工施設「ジビエ工房白神」を2020年11月に開設し、クマ肉料理の開発、製造を進めてきた。

 村の第三セクター「ブナの里白神公社」事務局長の角田克彦さん(49)は「クマの肉はそのままだと硬いが、工房の熟成庫で3日以上寝かせることで臭みが抜けて、ほどよいかみ応えがある、おいしい食肉になる。白神ジビエが村の特産品だと知る人も増え、だいぶ根づいてきたようです」と話す。

 村外での販売も重ねていて、10月下旬には道の駅「よこはま」(青森県横浜町)で出した屋台で提供した料理が大きな話題に。クマ肉の串焼きを購入して食べた旅行客が「ツキノワグマを食べた‼ 下処理が完璧だったのか、臭みなくホロホロ美味かった!」とX(旧ツイッター)に投稿したところ、8万件を超す「いいね」が寄せられ、「食べてみたい」「命を無駄にする事無く役立ててるのは素晴らしいこと」などと反響が相次いだ。

反響びっくり クマ活用の思いは…

 「こんなにバズるとはびっくりで、ありがたいことです」と角田さん。反響を受け、イベント限定で提供してきた串焼きを近く定番メニューに加える予定で準備を始めた。「クマを山の神からの授かり物として大切に扱い、有効に活用してきたマタギの文化をこれからも受け継いでいきたい」。角田さんはそんな思いも語る。

 発売済みの新商品は「白神クマスモークハム」「白神クマウインナー(チョリソ味)」の2種類。公社が運営する道の駅「津軽白神」や温泉宿「ブナの里白神館」の売店で、パック入り冷凍品の販売などを行っている。

 これら「白神ジビエ」に使われるクマは、農作物の被害を防ぐため村内のリンゴ畑や野菜畑に設置された有害鳥獣捕獲用のわなにかかったツキノワグマ。今年6月から10月末までにすでに40頭以上が捕獲された。山の木の実が豊作だった昨年の同期間の7頭と比べると、大幅に増えている。

 新商品のうち、「白神クマスモークハム」(100グラム650円)は製造した約60パックが売り切れ、新たな入荷は10日以降の予定。「白神クマウインナー」は1パック3本入りで1千円(ともに税込み、要冷凍)。定番化をめざす串焼きの価格は未定だが、近く決め、道の駅「津軽白神」では22日から販売を始める予定だ。

 問い合わせは同施設(0172・85・2855)へ。「白神館」の年内の営業は11月下旬まで。

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