京都・嵐山の観光名所「竹林の小径(こみち)」一帯で竹への落書きが急増している問題で、京都市は竹林の一部を試験的に伐採することを決めた。落書きされていない竹も切って「セットバック(後退)」させ、観光客の手が竹に届かないようにする。景観への影響を見極めながら伐採地域を増やすことも検討する。

写真・図版
嵐山の竹林の小径(こみち)で、散策路から手が届きそうな竹を確認する京都市職員。嵐山は今日も大勢の人が訪れていた=2025年11月6日午後2時59分、京都市右京区、新井義顕撮影

 市風致保全課や市観光MICE推進室、地元の嵐山保勝会、嵯峨自治会連合会などが5日夜に対策会議を開き、伐採することで合意した。6日には市風致保全課の職員が現地に入って伐採対象の竹を調べた。

写真・図版
嵐山の竹林の小径(こみち)で、散策路(右側)から手が届きそうな竹にテープを巻く京都市の職員。嵐山は今日も大勢の人が訪れていた=2025年11月6日午後2時55分、京都市右京区、新井義顕撮影

 伐採範囲は、小径の入り口に近い市有地で、散策路に沿って30メートル、奥行き1メートルの計30平方メートル。小径と竹林は竹穂垣で隔てられていることから、竹穂垣寄りの竹を計22本切る。このうち4本が落書きの被害を受けている。

 伐採作業は、放置竹林の問題に取り組むNPO法人「京都発・竹・流域環境ネット」と、竹林の小径で人力車を走らせている会社がボランティアで担当する。

写真・図版
落書きを隠すため竹に貼られた緑色の養生テープ=2025年10月6日午後1時26分、京都市右京区、日比野容子撮影

 対策会議では、地元から市に対し「落書きを放置していては模倣犯が増えるだけ。観光客へのマナー啓発を徹底してほしい」「(ごみをポイ捨てすると高額の罰金を取られることが広く知られる)シンガポールのように、落書きは犯罪だと強い姿勢を示せないのか」といった意見が出た。

 一帯は、古都保存法に基づく小倉山歴史的風土特別保存地区。市風致保全課の橋本操課長は「嵐山にしかない貴重な景観、風情を守りたい」と話した。

写真・図版
落書き被害の対策を話し合う会議=2025年11月5日午後6時11分、京都市右京区の嵐山保勝会、日比野容子撮影

 市などによると、落書き被害は今春ごろから急増した。市が10月に市有地を調べたところ、約350本で落書きが確認された。大半がアルファベットで、カタカナ、漢字、ハングルとみられる文字もごく一部あったという。

写真・図版
観光客でにぎわう「竹林の小径」=2025年10月6日午後1時45分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
嵐山の竹林の小径(こみち)で、散策路(右側)から手が届きそうな竹に伐採の目印のテープが巻かれた=2025年11月6日午後2時50分、京都市右京区、新井義顕撮影
写真・図版
養生テープを貼って落書きが見えないようにしている=2025年10月6日午後2時16分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
落書きされた竹=2025年10月6日午後1時56分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
竹の落書き=2025年10月6日午後1時57分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
嵐山の竹林の小径(こみち)で、落書きされた通り沿いの竹(左下)。今日も大勢の人が訪れていた=2025年11月6日午後2時59分、京都市右京区、新井義顕撮影
写真・図版
嵐山商店街が作ったポスター。「落書きは犯罪です」と注意を促す=2025年10月6日午後2時27分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
落書きされた竹。「2024」や「MARCO」などと刻まれている=2025年10月6日午後1時59分、京都市右京区、日比野容子撮影
写真・図版
落書きが残る竹林の小径(こみち)沿いの竹=2025年11月6日午後2時58分、京都市右京区、新井義顕撮影
写真・図版
落書きされた竹=2025年10月6日午後1時59分、京都市右京区、日比野容子撮影

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。