渋谷教育学園の創立百周年記念式典は田村哲夫学園長の講話で締めくくった=東京・有楽町の東京国際フォーラムで11日

 渋幕(千葉市美浜区)、渋渋(東京都渋谷区)の略称で知られる中高一貫校を運営する渋谷教育学園(渋谷区)が創立100周年を迎え11日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで記念式典が開かれた。両校の生徒や保護者らが集い、学園の1世紀の歩みを振り返りながら、生徒の自主性を重んじる校風の発展を誓った。

 学園は1924年に創立され、主に女子校としての道を歩んだ。首都圏では男女別学の私学が台頭するなか、渋幕(幕張校)は83年、渋渋(渋谷校)は女子校を改組する形で96年にそれぞれ共学校として開校した。

教育目標は「自調自考」 共学トップレベルの姉妹校

 両校とも、自ら調べ、自分の頭で考え、内面の成長を促す「自調自考」を教育目標に掲げる。帰国生にも広く門戸を開いて社会のグローバル化に対応する一方、進学実績でも共学トップレベルの姉妹校の地位を確立し、男女別学から共学への時代の流れを加速させた。

 式典では、渋渋の高際伊都子校長の開会の辞に続き、渋幕の田村聡明校長=学園理事長=が学園の歩みを紹介し、「情報があふれる時代だからこそ、ていねいに判断する力が必要。小さな好奇心の芽を無視せず調べ、考えてほしい」と生徒に呼び掛けた。

合同オーケストラが会場を盛り上げ

 また、藤井輝夫・東大総長(学長)が「多様性の海へ」と題して記念講演。2部では両校の合同オーケストラが両校校歌を演奏し、お互い合唱して式を盛り上げた。各界で活躍する卒業生のビデオメッセージも上映され、がんの転移メカニズムの研究者、星野歩子・東大教授や直木賞作家の小川哲さんらがホールの後輩にエールを送った。

記念式典を盛り上げた渋幕と渋渋の合同オーケストラ。両校校歌や行進曲「威風堂々」などを演奏した=東京・有楽町の東京国際フォーラムで11日午後

 式の締めくくりに、両校をはじめ幼稚園、こども園などの学園運営を長年束ねてきた田村哲夫学園長が登壇し、「教育の目的は自分を知りたいという人間の欲求に応えること」と述べた。そのうえで、「DND解析が証明するように一人一人が異なるからこそ、固有の自分を理解してほしい。そのために『自調自考』の思考や方法論がある」と語った。【前田剛夫】

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