<泣いてても 笑って見守る それだけで>
赤ちゃん連れが街中で感じるプレッシャーへの思いやりを五・七・五に込めた「赤ちゃん川柳」に、東京都江東区の中学生が挑戦した。11日に開かれたイベントに保育士でインフルエンサーのてぃ先生とタレントの藤本美貴さんが登壇し、生徒の温かい発想を褒めていた。
周囲のほほ笑みで親子が安心
育児用品製造・開発のピジョン(中央区)が全国の学校向けに実施する出前授業「赤ちゃんを知る授業」の一環。私立かえつ有明中学校(小島貴子校長)の3年生が取り組んだ。
生徒たちは10月の事前授業で妊婦のおなかの重さを体験するジャケットを着たり、ベビーカーで狭い通路を通ったりする体験をした。班ごとに電車の中で赤ちゃんが泣いてしまう状況を想定した作品を考え、各クラスで一つに絞って代表者が発表した。あるクラスは<席どうぞ 声かけひとつで えがおの場>を選んだ。
関本七帆子さんは<ほほえみが 泣き顔に効く ひみつ兵器>と発表した。「ほほ笑みかけるという誰でもできる行動をすることでハードルも下がるし、赤ちゃんも安心できると思った」と語った。
てぃ先生は「泣いている子も、パパママが焦っている表情だとより落ち着かない。周囲の人のほほ笑みは親御さんへのほほ笑みへと連鎖する」と語り、「街中で赤ちゃんを見かけたら『かわいい』と言ってほしい。親にもポジティブに見てくれていると伝わるし、言うだけで場が和む魔法の言葉だと思う」と呼びかけた。
「ここにいてもいい」共感寄せて
ピジョンが8月に実施したインターネット調査によると、0~3歳児を連れた外出の際に、約9割の父母が「周囲に迷惑をかけるのではないか」という懸念を感じている。
トークセッションで、藤本さんは「子育てしている側はたいしたことでなくても、ちょっと大変なときにベビーカーを一緒に運んでくれることで本当にうれしい気持ちになれる」と話していた。
「うるさいなと思う気持ちもわかる。ただ、必死に泣きやませようとしてもどうにもならない時もあるので、ほほ笑んでもらえると『ここにいていいんだ』とほっとできる」と親の気持ちを代弁した。
てぃ先生は親の心理について「泣きやませてほしいわけじゃなくて、共感してほしいと思っている」と解説。カフェで泣き続けている子どもの母親が「抱っこしてあげなさい」と客の高齢女性に注意され無言で帰ってしまったというエピソードを紹介し、「もしかしたらそのママは一日中抱っこし続けて疲れてやっとたどり着いた場所だったのかもしれない。泣いている子どもの家庭は(外からは)ほんの少ししか見えない」と寄り添った。【西本紗保美】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。