文部科学省=東京都千代田区で、石田奈津子撮影

 文部科学省は13日、私立大が一度縮小させた収容定員を元に戻す際の手続きを簡素化する制度案について有識者会議に示した。現状は、一度定員を減らすと元に戻す手続きが煩雑なため、大学にとって規模縮小の心理的ハードルとなっていた。地域の実情などに合わせて定員を縮小しやすくすることで、各大学に規模の適正化を促すとともに教育の質向上を目指すという。

 現行制度では一度縮小させた定員を元に戻す場合、大学設置・学校法人審議会の審査を受ける必要があるが、新たな制度案では一定条件を満たす場合は文科相への届け出で変更可能とする。

 条件は定員減少から7年以内で、元に戻す際に減少前の定員の総数を超えないこととする。文科省は2026年度に政令を改正し、届け出の受け付けを開始する予定。

 中央教育審議会(文科相の諮問機関)は2月、急速な少子化を見据えた大学など高等教育の将来像をまとめた答申を公表。規模の適正化を進めるために、収容定員の縮小に対する大学の忌避感の緩和に向けた仕組みの構築を求めていた。

 日本私立学校振興・共済事業団によると、25年度の入学者が定員を下回った私大は全体の53・2%にあたる316校で、24年度は過去最高の59・2%に上った。【木原真希】

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