私立大の入学金二重払いの実態について発表する入学金調査プロジェクトの五十嵐悠真さん=東京都千代田区で2025年11月18日午後4時55分、木原真希撮影

 第1志望の合格発表前に滑り止めの大学などに入学金を納める「二重払い」について、文部科学省が求める負担軽減制度を導入している私立大は東京都内120校のうち3%にあたる4大学にとどまった。有志の若者グループが18日に公表した調査結果で判明した。また、全国の私立大が入学しない受験生から得た入学金を試算したところ、355億円に上ったという。

 入学金の二重払いを巡っては、入学しない大学に入学金を払うことが受験生の負担となっており、家庭の経済状況によっては受験機会の格差につながるとの指摘があった。

入学金の「二重払い」のイメージ

 こうした声を受け文科省は6月、受験生の負担軽減を求める通知を出した。金額の抑制に努めることや、納付締め切りを複数回に分けて設定することなどを求めた。

 調査は入学金の二重払い問題に取り組む若者グループ「入学金調査プロジェクト」が実施。都内の私立大のうち大学院大学などを除いた120大学の対応について、各大学が公表している募集要項などを確認した。

 プロジェクトによると、17日時点で負担軽減制度が確認できた4大学は、産業能率▽大東文化▽嘉悦▽文化学園。産業能率大は3月11日までに申し出た場合に全額返還、文化学園大は入学辞退者に入学金から10万円を除いた額を返還するという。

私立大の入学金負担軽減制度の導入状況について発表する入学金調査プロジェクトの五十嵐悠真さん(中央)ら=東京都千代田区で2025年11月18日午後4時9分、木原真希撮影

 また、入学しない受験生からの入学金収入について、文科省が公表している2023年度の私立大の入学金平均額(24万806円)などを基に試算したところ、全国で355億円に上った。

 プロジェクト発起人の五十嵐悠真さんは記者会見で、私立大の対応状況について「極めて不十分だと思っている。受験機会の不平等をなくすためには一律に入学金の納入時期を3月31日にしてほしい」と訴えた。

 入学金の納付締め切りを設ける理由として定員管理が挙げられるが、その点について「入学金を払ったからといって入学する意思を示しているとは言えない。合格者確定の仕組みを適正化していく必要があるのではないか」と指摘した。【木原真希】

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