国立がん研究センターがん対策研究所が調査をまとめた=同センター提供

国立がん研究センターは19日、2012〜15年にがんと診断された患者の5年後の生存率を発表した。肺がんは35.5%、胃がんは63.5%だった。がんの部位ごとに都道府県別の生存率を分析し、地域差を比べやすくなった。胃がんは宮城県での生存率が高く、愛知県が低いといった傾向がみられた。地域ごとのがん対策につながる可能性がある。

国立がん研究センターがん対策研究所が報告書をまとめた。集計対象や生存率の計算方法を従来の調査から変更した。今回は44都道府県の254万7000件(前回は22府県の59万2000件)を調べた。計算方法はがんのみが死因となる状況を考慮する指標「純生存率」を採用し、がんの実態をより反映できるようにした。

都道府県別では、例えば胃がんの5年後の生存率では宮城県は7割強と高かった。一方で愛知県の5年後生存率は6割弱と他の地域と比べて低かった。がん対策研究所の担当者は「早期診断など、各地のがん対策が影響した可能性がある」と話す。

がんの性質や対策はそれぞれのがんで異なる。部位ごとの生存率では、前立腺がん(生存率94.3%)や子宮がん(同75.9%)は、肝がんおよび肝内胆管がん(同33.7%)などと比べて生存率が高かった。

今回の集計にあわせて、過去約30年に及ぶ生存率の計算方法も変えた。2012〜15年の生存率について1993〜96年と比べると、上がっている部位と下がっている部位が存在した。例えば多発性骨髄腫では男性では2012〜15年は45.6%で21ポイント、女性も44%で15.5ポイント上がった。一方で、膀胱(ぼうこう)では男性は67.2%で10.6ポイント、女性も53.2%で5.9ポイント下がった。

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