雇用の安定を求めて専門職も経験に見合わない仕事に甘んじる時代 DMITRIY KRAVCHENKO/GETTY IMAGES
<求人数が減り、雇用の先行きへの不安が高まるアメリカで、現在の仕事にしがみつく「ジョブ・ハガー」が急増している。賃金カットやキャリアの後退を受け入れてでも離職を避けようとする人々が、働き方の選択にどのような変化をもたらしているのか>
▼目次
賃下げしてでも残るべきか? キャリアと安定の「損得」を分けるポイント
求人数が減っていることへの懸念を背景に、アメリカでは「ジョブ・ハガー」と呼ばれる人が増えている。いま就いている仕事にしがみつき、離れようとしない人のことだ。
履歴書作成サービスのトップレズメがアメリカで専門職に就いている600人を対象に今年9月に行った調査によれば、回答者の66%がジョブ・ハガーに分類されたという。彼らは経済的な事情から今の仕事にしがみつき、転職先を見つけるのが難しいという理由で離職に不安を抱いていた。
この調査では、回答者の3分の2近く(65%)が、自分の学歴や資格、経験に見合わないような職に就くこともやむなしと考えており、実際にそうした職に就いている人も26%いた。また、解雇されるよりは賃金カットを受け入れる用意があると答えた人は75%に上り、実際に賃下げに応じた人も16%いた。
働く人の心理に詳しいライス大学のミッキ・ヒーブル教授は本誌に対し、多くの業界で新規雇用が伸び悩み、失業率は横ばい、解雇は増えているという状況を背景に、どんな仕事でもないよりはましだ、という考えに多くの人が傾いていると語った。
「柔軟な勤務形態やリモート勤務、ストレスが少なく拘束時間が短いといった条件を重視する人もいるが、そういった仕事は賃金が低い傾向にある」とヒーブルは言う。「給与と仕事満足度の間にそれほど強い相関がないことは研究で明らかになっているが、本人が望むなら、キャリアアップのチャンスがあると実感できることは大切だ」
賃下げしてでも残るべきか? キャリアと安定の「損得」を分けるポイント
トップレズメのキャリア専門家アマンダ・オーガスティンも「安定した雇用のために責任や給与が伴わない職を選ぶのは理解できるが、それにはリスクもある」と指摘する。
◇ ◇ ◇記事の続きはメディアプラットフォーム「note」のニューズウィーク日本版公式アカウントで公開しています。
【note限定公開記事】転職に臆病な「ジョブ・ハガー」が増加...米雇用不安がもたらす新たな働き方
ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ
公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。