道徳教育が徹底され、国民一丸となっていたイメージのある戦時中だが、実は過酷で陰湿ないじめが横行していた。
12月6日開催のオンラインイベント「なぜ戦争は『いじめ』を生み出したのか 荻上チキさんと語る」(毎日新聞社主催)で、荻上さんと対談する毎日新聞の栗原俊雄記者に、実態を聞いた。【オンラインイベント事務局】
――荻上さんとの関わりは。
◆戦後70年の2015年8月、荻上さんがパーソナリティーを務めるTBSラジオの番組「Session」に招かれたのが最初です。テーマは「新聞の戦争責任」で、気が重かったのですが、たまたまデスクとしてそのテーマでの特集面を担当したこともあって引き受けました。それ以後10年間で10回以上出演しています。一昨年くらいに、荻上さんから「戦時中のいじめをテーマにした本を出したい」と、共著の相談を受けました。
――「大日本いじめ帝国」(今年7月刊行)ですね。最初に打診を受けた時はどう思いましたか。
◆多数の戦争体験者に取材してきましたが、「いじめ」というテーマで考えたことはなかったので、「なぜ自分なのか」と少し戸惑いました。しかし取材に加わり、戦時下ならではの、日常にあった多数のいじめが見えてきました。
――まずは集団疎開先での子どもたちの置かれた環境について教えてください。
◆ストレスフルで、地域にもよりますが概して食べ物不足。気の合わないクラスメートや教員がいても逃げ場がない。家族から引き離されたまま、疎開がいつ終わるかも分からない。不安、不快の日々です。集団疎開は、「子どもをこうした環境に置けばいじめが発生する」というモデルケースだと感じます。
――隣組と呼ばれる町内会組織での関係は。
◆大日本帝国は、「すべては国家のために」とばかりに、国民全体を戦争に巻き込みました。その末端にあった組織ですね。相互監視による「愛国自警団」のような役割を果たし、「愛国的でない」と見なされると、迫害されました。
――学徒動員で若者も戦地に送られました。
◆慶応大在学中に学徒動員で出征し、1945年5月に陸軍の航空機で特攻し、戦死した若者のことを取材したことがあります。上原良司さんという方です。筋金入りの「自由主義者」で、個人の自由を否定する軍隊の中での苦悩は深かったようです。上官による、理不尽な仕打ちに強く反発していたといいます。同様の例は多かったでしょう。
――対談を通じて伝えたいことは。
◆戦争は、戦争がなければ発生しなかったかもしれない「いじめ」を生み出します。いわば「いじめ」の孵卵器(ふらんき)です。戦争に関する取材を長年していて、「戦争をしてはいけないし、しない方がいい」と思っていますが、今回の本に関わってその気持ちを強くしました。
オンラインイベント概要
【日時】2025年12月6日(土)19:00~20:30(18:45入場開始)
(チケットご購入の方には別途、イベント後にアーカイブを1カ月ほど視聴できる案内をいたします)
【会場】Zoomウェビナー
【参加費(税込み)】
①イベント視聴チケット:1650円
②【学割】イベント視聴チケット:1100円(年齢を問わず、小中高大専門学校に通っている方が対象です)
無料視聴プランのご案内はこちらをご覧ください
【締切】2025年12月6日(土)19時00分
【主催】毎日新聞社
【本オンラインイベントに関するお問い合わせ】event@mainichi.co.jp(毎日新聞社オンラインイベント事務局)
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