厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 医師の処方箋を必要とする公的保険の適用薬のうち、市販薬と効能や成分が似ている「OTC類似薬」について、厚生労働省は27日の社会保障審議会医療保険部会で、保険適用を維持した上で、患者に追加負担を求める方針を示した。委員から大きな異論はなかった。

 OTC類似薬の保険適用の見直しは、自民党と日本維新の会の社会保障制度改革に向けた実務者協議で主要なテーマに位置づけられている。厚労省は今後、この協議での議論も考慮しながら、具体的な制度設計の検討を進める。年内に一定の結論を出したい考えだ。

 制度の具体化に向けては、追加負担の対象とする線引きが課題になる。この日の部会で厚労省は、子供や慢性疾患の患者らへの配慮が必要として、「18歳以下」「OTC類似薬の長期利用者」「入院患者」らを、追加負担を求めない例として示した。

 委員からは、がん患者や難病患者、アレルギー患者を対象外にすることを求める意見が多く寄せられた。「薬の種類で線引きするのは難しい」との意見もあった。21日にあった自民と維新の実務者協議では、難病の患者らを念頭に、配慮が必要な人には従来通り保険適用を維持する方向性を確認している。【鈴木理之】

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