「オキちゃん劇場」で長年活躍してきたミナミバンドウイルカの「オキちゃん」=国営沖縄記念公園(海洋博公園)・オキちゃん劇場提供
写真一覧

 1975~76年に沖縄県本部町で開催された沖縄国際海洋博覧会(海洋博)から50年にわたって海洋博公園(本部町)内の「オキちゃん劇場」でイルカショーを披露してきた雌のミナミバンドウイルカの「オキちゃん」が2日、死んだ。飼育する沖縄美(ちゅ)ら海水族館(本部町)が同日発表した。推定年齢は52歳。同館が飼育する雄の「ムク」とともに、ミナミバンドウイルカの飼育記録として世界最長だった。

 オキちゃんは海洋博開幕前の75年5月ごろから飼育を開始。同館の佐藤圭一館長によると、当初の名前は「白緑」だったが、非常に優秀な個体だったため、その後に海洋博のマスコットキャラクターの名前を取って「オキちゃん」と付けられた。

 今夏ごろから体調不良でショーを休む日が増え、10月20日が最後の出演となった。野生のミナミバンドウイルカの寿命は40年弱とされ、死因は高齢による身体機能の低下に伴う疾患とみられる。佐藤館長は「多くの人に記憶される存在だっただけでなく、生態学的にも生理学的にも研究に大きく貢献してくれた」とねぎらった。

 飼育50年となった今年5月には沖縄県から「県観光特別賞」を授与され、本部町からは「特別住民票」を交付されていた。玉城デニー知事もコメントを発表し、「長きにわたり愛くるしい表情や躍動するジャンプを披露して、多くの県民や観光客に笑顔と感動を与え続けてきた。長年の功績に対して、心から感謝するとともに、やすらかな眠りを深く祈念する」とした。

 佐藤館長によると、オキちゃんはショーに出たがるイルカだった。晩年は飼育員が体調を見極めながら、出る意志が強いときは激しい動きはさせない形で出演させていたという。【喜屋武真之介】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。