昭和初期の間取り図
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 終戦から80年の間に日本の世帯構成は大きく変わった。家族形態は「家制度」の廃止により、「核家族」が主流となった。現代では単身世帯の増加や、異なる背景を持つ個人や世帯が集うなど多様化しつつある。住居の変遷と家族との関係に詳しい昭和女子大の番場美恵子准教授(住居学、住生活学)に時代ごとの住まいの特徴を解説してもらった。

昭和初期

 部屋はすべて障子やふすまでつながっていて、時と場合に応じてつなげて使用しました。これを続き間型住宅といいます。また、布団やちゃぶ台を利用し、一つの部屋をいろいろな用途で使いました。

高度経済成長期の間取り
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高度経済成長期

 明治以降に海外の文化が入ってきて、家族が集まる空間と個人の部屋で構成される公私室型が徐々に広まりました。一般の住宅に浸透したのは戦後以降で、1970~80年ごろには主流となりました。この流れを受けて、続き間型住宅に公私室型を組み合わせたかたちの住宅ができてきました。子どもに勉強して良い大学に入ってほしいと、条件の良い部屋を子どもに充てる家庭も見られました。子ども部屋が快適になったことで、自室にこもりがちになることが問題にもなりました。

親子関係が影響?
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親子関係の影響も

 夫婦一緒に子どもを育てる家庭が主流になったこともあり、親子関係が密接になりました。最近ではリビングなど共有スペースで一緒に過ごすことが増え、子ども部屋よりも家族で過ごす部屋の広さを重視する傾向があります。また、居室にプラスαをつけるような仕掛けをハウスメーカーが提案しています。ダイニングの一角に扉で区切らない書斎などを設けるのが一例です。

1人暮らし多様化

 2020年代に入り1人暮らしが増えました。とくに高齢者で顕著です。戦後の日本の住宅政策として家を買えば税金が優遇されるなどのメリットがあったため、高齢者の持ち家率は約8割と高いです。ただ、現在は家も老朽化し、体が不自由になって自宅に住むのが困難になり高齢者施設に入居している人も増えています。若い世代ではバイク好きな人が住むガレージ付きの家など個性的な賃貸物件が登場するなど多様化しています。

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