厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は3日、医薬品の市場での取引価格が、国が定める薬価(公定価格)を4・8%下回ったとする調査結果を、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で公表した。これを受け、厚労省は来年6月の診療報酬改定で薬価を引き下げ、医療費の伸びを抑制する調整に入る。

 公定価格の診療報酬は、公的医療保険制度に基づき病院や薬局に支払う対価で、「薬価」と「本体部分」で構成され、原則2年に1度改定される。近年は、薬価を市場価格に合わせて引き下げ、その財源を本体の引き上げに充てることが通例になっている。

 来年度の診療報酬改定は、物価や人件費の高騰への対応が焦点。医療経済実態調査では、2024年度の一般病院の利益率はマイナス7・3%で、調査を基にした厚労省の分析では、一般病院の72・7%が赤字だった。

 日本医師会などの医療団体は、物価高などで医療機関の経営が危機的状況にあるとして、本体部分の大幅な引き上げを求めている。厚労省はこの調査結果を受け、医師らの技術料や人件費にあたる「本体部分」を引き上げる検討を本格化する。

 今回の調査対象は今年9月の取引分。価格差は24年度の前回調査が5・2%、23年度の前々回が6・0%で、縮小している。【肥沼直寛】

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