厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は、高額な医療費の患者負担を月ごとに抑える「高額療養費制度」の見直しで、長期療養者の負担を軽減する「多数回該当」について、現行の負担上限額を据え置く調整に入った。受診回数にかかわらず、年間上限額を新たに設定することも検討する。

 政府は昨年末、制度の見直し案をまとめたが、多数回該当の上限額引き上げを中心に患者団体らから反対の声が上がった。「当事者の意見を聞いていなかった」との批判も大きく、8月に予定された見直しを見送った経緯がある。

 厚労省は当事者の患者らが参加する専門委員会を設置し、改めて制度の見直しを検討してきた。これらの新たな見直し案は8日に開かれる専門委に示される。支払い能力に応じた負担を徹底するため、現在の所得区分を細分化する方針も盛り込まれる。また、70歳以上で所得の低い層に、外来受診の自己負担の上限を設ける「外来特例」は見直し、上限額の引き上げを検討する。【鈴木理之】

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