角膜移植でコーディネーターが果たす役割について話す渡辺和誉さん(手前)=神戸大医学部付属病院内の兵庫アイバンクで2025年12月8日午前9時50分、稲生陽撮影

 ドナー登録した人の角膜を移植が必要な患者に仲介する公益財団法人「兵庫アイバンク」(神戸市)が今月から、初めてクラウドファンディング(CF)を利用した資金調達を始めた。目標額は500万円。現場でドナーの遺族や医師とやり取りするコーディネーターの離職率が高いことから、公募や若手育成の費用に充てるという。2月末まで。

 同アイバンクは1993年に設立。全国でも20人足らずしかいない専従のコーディネーターを配置し、県内のほか、契約を結ぶ奈良県や岡山県のドナーからの角膜提供など年間十数件の移植に関わる。費用は寄付と移植できた場合に診療報酬から支払われるあっせん費用で賄っている。

 しかし、死後12時間以内の眼球摘出が求められる角膜移植では、コーディーネーターは休日や時間に関係なく現場に向かわなければならず、激務とストレスから大半が5年ほどで退職していくという。せっかく提供を受けても検査の結果移植できず、報酬につながらないこともある。

 西日本初のアイバンク専従コーディネーターとして25年間活動を続けてきた同アイバンク事務局長の渡辺和誉(かずのり)さん(49)は「プライベートの時間がなく、旅行などもまず行けない。仲間が続々と辞めていく中、使命感で続けている」と話す。

 CFでは、資金の6割をコーディネーターの採用や継続雇用に充て、残りを検査機器購入やドナーの慰霊祭などに充てる。寄付はCF専用サイトから。【稲生陽】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。