千秋庵製菓の洋風せんべい「山親爺」=安味伸一撮影

 「千秋庵製菓」(札幌市)のせんべい「山親爺(おやじ)」のユーモラスなテレビCMを題材にした絵本「やまおやじ」が、西東社(東京都)から出版された。作者は北海道本別町生まれの絵本作家、きくちちきさん。刊行を記念して、原画などを公開する「きくちちき×山親爺の世界展」が江別市牧場町の江別蔦屋書店で14日まで開かれている。

 絵本はヒグマの親子がスキーに乗ってサケを捕りに行き、銀世界の中で野山の動物たちも登場する物語だ。会場では原画(黒)のパネル3面と、3色刷りで拡大したパネル8面も展示。きくちさんがそれぞれの絵について「黒版」「青版」「オレンジ版」の3枚を墨で描き分け、版を重ねて立体的に見えるように印刷。雪の部分にはつや出しのニスを重ね塗りしたという。

 「山親爺」はバターや牛乳などを使った洋風せんべい。「函館千秋庵総本家」がレシピを開発し、千秋庵製菓では1930年に発売した。テレビCMは60年から放映し、一時中断を経て昨年3月に新バージョンで復活。CMソングも含めて道民におなじみの銘菓だ。絵本は西東社の道産子の編集者が新たなCMを見て企画し、きくちさんに依頼した。

原画の拡大パネルの前で、絵本「やまおやじ」と菓子「山親爺」を手にする中西克彦社長=江別市牧場町で2025年12月8日、安味伸一撮影

 千秋庵製菓の中西克彦社長(39)は「道民に愛され続けてきたからこそ絵本になった。絵に味があり、温かい気持ちが伝わる。動物たちが食べるお菓子が実際に存在するのも素晴らしい」と話した。

 絵本はAB版32ページ。1980円。同書店で14日にはきくちさんがその場で描くライブペイントがある。午前11時開始。【安味伸一】

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