世界中で人気のゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」をご存じだろうか。
ユーザーがゲームを開発して遊べるプラットフォームで、世界中で1日平均1億5150万人が利用する。
特に子どもに大人気なのだが、米国では子どもの性被害につながる事例もあり、危険性も指摘されてきた。子どもから「ロブロックスで遊びたい」と言われたら、どう対応すればいいのだろうか。
3分の1は13歳未満
ロブロックスは、パソコンやスマートフォン、一部のゲーム機などで利用できるオンラインゲームで、基本的に無料で遊べる。
運営会社の2025年第3四半期決算発表の資料によると、開発者は350万人に上り、700万以上のゲームが提供されている。
地域別ではアジア太平洋地域が30・6%と最多で、ヨーロッパが22・4%、米国とカナダが17・2%と続いた。
子どもから大人まで広く親しまれているが、13歳未満の1日平均の利用者は4980万人と全体の3分の1を占めている。
そして、この子どもユーザーを巡ってロブロックスは、たびたびやり玉に挙げられてきた。
米ルイジアナ州は今年8月、安全対策が不十分としてロブロックスを提訴した。同州の司法長官はX(ツイッター)で、ロブロックスで知り合い、その後、交流サイト(SNS)の「ディスコード」で、少女に不適切な写真を送るよう成人男性が強要した事件を挙げるなどし、「性犯罪者の温床となっている」と非難した。
その後、ケンタッキー州とテキサス州でも提訴が相次いだ。
子どもは知っているのに
「ロブロックス、ママ知らないの?」
中高生がオンラインで情報技術を学ぶことができる「STAR AI・情報塾」を運営する「チアリー」の山崎紀彦さん(46)は、小学生の長女に「ロブロックスって知ってる?」と尋ねると「知ってるよ」と即答された。
一方、妻は知らなかったことから、逆に「ママ知らないの?」と長女が聞いたのだ。
「改めて子どもと大人の情報量の差が大きいと感じました。子どもたちが見るユーチューブに、ロブロックスのゲームで遊んでいる映像が流れてくるので、知っている子は多いのではないでしょうか」
この塾ではロブロックスを使ってゲームを作る講座もあり、山崎さんはこれらの教育コンテンツの企画を担当している。「ロブロックスは遊びにとどまらず、学びにもなります」と話す。
ロブロックスでゲームを作る際には、その世界観やルール、ゴール設定、誰と遊ぶか、難易度などの設定を企画していく。
その過程で創造性が育まれ、また、プログラミングしてみると、思い通りに動かないこともあり、試行錯誤しながら乗り越えていく力も伸ばせるという。
ただ、安全対策は必須だ。受講する生徒の保護者には、事前にロブロックスの注意点を伝えているという。
「公園」に1人で行ける?
山崎さんは「ロブロックスは『公園』です。自分だけが遊ぶ環境ではなく、不特定多数の人がいて、知らない人と(チャットで)話してしまうリスクがあります」と呼びかける。
推奨している方法が、利用制限の設定を確認することだ。
「設定」↓「プライバシーとコンテンツ制限」↓「通信機能」↓「バーチャル空間内チャット」まで進み、「バーチャル空間チャット」「ダイレクトチャット」をいずれも「オフ」に設定する。
さらに、「プライバシーとコンテンツ制限」で「コンテンツ成熟度」を選択。ゲームは暴力や流血、怖い内容が含まれているかなどの程度を示す「コンテンツ成熟度」の項目で、「極少」「軽度」「中程度」「R指定」に分類されており、「極少」に設定するといいという。
これらの設定はアップデートにより、操作が変更になる場合がある。
必要なネットリテラシー
他にも、不要な個人情報を入力しない、有料のゲームを利用しないなど、注意点はあるが、山崎さんは「ロブロックスだけの問題ではなく、他のSNSと同じです。『なぜいけないのか』を説明して、ネットリテラシーを高める必要があります。それが理解できない子どもなら利用させるべきではありません」と話す。
山崎さんは長女にまだロブロックスを使わせていない。「今は『問題ないゲーム』と『問題あるゲーム』が分かっていないので、親として子どもを『公園』に1人で行かせられないと判断しています」と理由を説明する。
顔で年齢を推定も
ロブロックスの運営会社も対策を発表している。
24年に13歳未満の子どもを持つ保護者向けの安全対策を発表し、保護者のロブロックスアカウントを子どものアカウントにひも付け、遠隔管理できるシステムなどを導入した。
25年には、チャット機能の利用に、自分を撮影した短い動画による顔年齢確認を義務付けると発表。12月からオーストラリアやオランダなど一部で開始し、来年、他の地域に広げていく。
年齢確認を終えれば、近い年齢層のユーザーとのみチャットできるようになる。こうして未成年者と成人のやり取りを制限するという。
また、運営会社は「保護者協議会」の創設を発表。アジア太平洋地域のユーザーの保護者からも参加を募った。保護者協議会は来年開かれ、世界中のユーザーの保護者が、ロブロックスの安全対策を評価し、改善点があれば運営会社にフィードバックしていくという。
親子で話すゲームの使い方
ロブロックスに限らず、オンラインゲームでは見知らぬ相手とつながりを持てるのが魅力である一方、落とし穴にもなりうる危険性をはらむ。
子どもたちはもうすぐ冬休みでゲームの時間が増える心配もある。親子でゲームの使い方について、話し合う機会にしてもよさそうだ。【御園生枝里】
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