政府は12日、首相官邸で男女共同参画会議を開いた。男女共同参画の5カ年計画の「基本的な考え方」の案を提示し、旧姓の通称使用に関し法的効力を与える制度を創設すると明記した。選択的夫婦別姓の導入には踏み込まなかった。

基本的な考え方をふまえ、男女共同参画基本計画を月末に閣議決定をめざす。政府は2026年の通常国会に旧姓使用の法制化に向けた関連法案の提出を予定する。
基本的な考え方の案に「社会生活のあらゆる場面で旧氏使用に法的効力を与える制度の創設の検討を含め、旧氏使用の拡大やその周知に取り組む」と記した。
「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、家族の一体感、こどもへの影響も十分に考慮し、検討を進める」と記載した。夫婦別姓の導入に慎重な姿勢を示した。
高市早苗首相は会議で「女性も男性も活躍できて暮らしやすい地域づくりを実現できるよう、いっそうの取り組みを進めてほしい」と述べた。12日に予定していた首相への答申は見送った。
連合の芳野友子会長は会議後、旧姓の通称使用の法制化に「反対の立場を表明した」と記者団に語った。連合は選択的夫婦別姓の導入を求めている。
基本計画は5年ごとの政府の取り組みや目標を示す。今回は30年度末までの各分野での男女共同参画にかかわる具体的な取り組みを盛り込む。有識者らの専門調査会がまとめる基本的な考え方は計画の土台となる。
旧姓の通称使用を巡り、8月時点の素案で法的効力に関する記述はなかった。「引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む」との記述にとどめていた。
10月に自民党と日本維新の会の連立政権が発足し、連立政権合意書に旧姓使用の法制化の方針を掲げた。
パスポートやマイナンバーカード、運転免許証への旧姓の併記に法的根拠を付与し、日常生活での不便を軽減する狙いがある。民間企業が提出を求める書類にも、戸籍上の姓と通称に同等の効力を持たせるよう努力義務を課す見通しだ。
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