記者会見で質問に答える福間香奈清麗=大阪市北区で2025年12月10日午前10時26分、梅田麻衣子撮影

 日本将棋連盟は16日、出産前後の時期の女流タイトル戦出場を事実上認めないとした規定を一部変更すると発表した。タイトル戦の日程が出産前後の計14週間と一部でも重なった場合はタイトル保持者であっても別の女流棋士に交代させるとした規定を削除し、対局日程の変更も可能な限り調整するという。

 女流タイトル八つのうち六つを保持する福間香奈清麗(33)が規定を問題視し、見直しを求めていた。また、女流タイトル戦「倉敷藤花戦」を主催する岡山県倉敷市からも規定の早期見直しを求める申し入れ書が出されていた。将棋連盟は15日に緊急常務会を開き、規定の一部変更を決めた。

 将棋連盟によると、弁護士から▽女性の妊娠・出産を自己決定する権利の観点から対局日の調整は可能と解釈することが相当▽一切の日程調整をしないという運用は自己決定権を著しく害する――との指摘を受けたという。

 対局場が確保できないなどで日程調整がどうしてもつかない場合はタイトル戦出場を認めず、挑戦者に次ぐ2位の成績を上げた人に交代させたうえで、出場できなかったことへの代替措置を講じる。

 更に、2026年1月までに「公式戦番勝負対局規定検討委員会(仮称)」を設け、対局者変更となった場合の代替措置などを検討し、3月ごろに中間結果を、4月末には最終的な答申案を求めることとした。

 清水市代会長は「日頃から将棋界を支えてくださっているファンの皆様、関係者の皆様にご心配とご不安をおかけいたしましたことを、深くお詫(わ)び申し上げます。妊娠・出産を含む人生のさまざまな局面において、棋士・女流棋士が安心して対局に臨むことができる環境を整えることは、将棋連盟の責務であると強く認識しております。今回の見直しを一つの出発点とし、検討委員会での議論や女流棋士、主催者、ファンの皆様のお声を真摯(しんし)に受け止めながら、より良い制度と運営体制の構築に全力で取り組んでまいります」とのコメントを出した。【丸山進】

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