国際的な審査機関が認証した「サステナブル・シーフード」を用いたランチコースの提供が、京都市中京区のクロスホテル京都で今月から始まった。天然もの、養殖もの双方の魚介類を使用。将来にわたって水産資源が枯渇することのないよう、豊かな海を守ることに貢献したいという。
乱獲や違法操業をしていないか、環境への配慮は適切か――。サステナブル・シーフードは、国際機関が漁獲量の管理体制や生態系への影響などを審査して認証する。天然ものの「MSC認証」と養殖ものの「ASC認証」があり、漁業者が魚種ごとに取得する。そして、これら認証を受けた魚介類を消費者の手元に届ける役割を担う卸売り・小売業者やホテルなどのサプライチェーンが取得する「MSC CoC認証」「ASC CoC認証」がある。
クロスホテル京都は、オリックスのグループ会社であるオリックス・ホテルマネジメントが運営。一般社団法人・MSCジャパン(東京)によると、国内のホテルチェーンで認証を取得しているのは同社だけだという。同社はクロスホテル大阪、札幌に加え、杉乃井ホテル(大分県別府市)、湯の川温泉ホテル万惣(ばんそう)(北海道函館市)など全国12のホテル・旅館の朝食や夕食のビュッフェで、サステナブル・シーフードを常時提供している。
イオンやマクドナルドでも
サステナブル・シーフードは、身近なところではイオン系列のスーパーでサケやカツオ、タラコなどが買えるほか、マクドナルドの「フィレオフィッシュ」に使われているスケトウダラが認証を受けている。
しかし、認証を取得する国内の漁業者はまだ少数派で、一般的な知名度が高いとは言えない現状だ。例えば、MSCジャパンによると、今年3月末現在のMSC認証の取得件数は世界で計592件。このうち日本は24件で、わずか4%に過ぎない。
こうした背景から、オリックス・ホテルマネジメントでも、使用している魚介類の約9割を海外からの輸入に頼らざるを得ないのが現状だ。円安基調の中で原価は割高とならざるを得ないが、12施設分を一括して仕入れたり市場を介さず直接買い付けたりすることで乗り切っているという。
同社広報の田村乃理子さんは「サステナブル・シーフードの存在を多くの人に知っていただき、豊かな海を守りたい。他のホテルチェーンにも同様の取り組みが広がっていけば、非常にうれしい」と語る。
クロスホテル京都が始めたランチコースでは、サーモンやビンチョウマグロなどを前菜に、オマールエビやマダイなどをメインディッシュに使用。菅原栄崇・料理長は「サステナブル・シーフードっておいしいんだ!ということをぜひ一度体験してほしい」と話す。
5300円(消費税、サービス料込み)。問い合わせはレストランKIHARU(075・231・8832)へ。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。