アイドルグループ「SUPER EIGHT」の村上信五さん(43)の講演会が、近畿大の東大阪キャンパスであった。農業関連会社の取締役なども務める村上さんが「セルフプロデュース」と「ビジネスデザイン」をテーマに、約460人の学生に多角的な視点を持つことの大切さなどを語りかけた。
10代の頃からエンタメ界で活躍し、テレビ番組で軽妙な関西弁のトークを繰り広げる村上さん。最近は農業分野での活動や自身をモデルにしたバーチャルタレント「AIシンゴ」の開発、著書「半分論」(幻冬舎)の出版など多彩な活躍が注目されている。
講演の始めに「何も用意せずに臨んでいる」と話した村上さんは、学生の質問にその場で答える形で90分間の「講義」を進めた。
女優を目指している学生はセルフプロデュースについて質問。村上さんは「『素の自分って何?』と聞かれても言語化できない」と話し、環境や肩書に応じた「フェイクの自分」がいることに言及した。その上で「セルフプロデュースは自分と向き合うこと。自分って何だろうって分かっていたら、自分の能力が見えてくる」と話した。
記者になりたい学生からは、伝え方について質問を受けた。自己出資で開発した「AIシンゴ」を引き合いに「最初は『何でAIやねん?』と言われたが、自分の思いを面倒くさがらずに丁寧に説明したら伝わった」と話し、「伝え方は言葉のデザイン。自分の思いやテーマを整理することが大切」と語った。
失恋したという学生は「どうやって困難を乗り越えてきたのか」を質問。村上さんは「二つの思考点を持つこと」とアドバイスし、「恋の悩みはめちゃくちゃでかいけど、裏を返せば大学生活や友人関係に大きな悩みがないとも言える。物事を多角的に見られるようになればいい」と語り、「視点を増やすことがセルフプロデュースであって、人生のデザインになる」と力を込めた。
講演後に取材に応じた村上さんは「大学での講義は初めてだったけど、学生の質問がピュアだった。楽しくやらせてもらった」と振り返っていた。【塩路佳子】
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