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<初めて症状が出たのは1歳のとき。正しい診断を受けるまでに30年以上もの時間がかかった理由──>
わずか30秒、紫外線を浴びるだけで入院することになる。そんな「ヴァンパイア体質」の女性の驚くべき生活スタイルを紹介する動画が注目されている。
【動画】「わずか30秒」太陽光を浴びると皮膚が壊死...ヴァンパイア体質になった36歳女性の「驚きの生活方法」
テネシー州マーフリーズボロに住む36歳のエミリー・リチャードソンは、昨年、太陽によって誘発されるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)に罹患していると診断された。
リチャードソンが正式な診断を受けたのは昨年だが、実際にはほぼ人生の大半をSJSとともに過ごしてきた。
最初に症状が出たのは1歳のときで、口内に潰瘍ができた。当時、医師は「誰かが口唇ヘルペスを持ったままキスをして、感染したのだろう」と言ったという。
「13歳と27歳のときにも同じことが起きて、毎回ヘルペスと誤診された。27歳の頃には『本当にヘルペスなのか?』と疑い始めていたけれど、それでも何が起きているのか全くわからなかった」とリチャードソン本誌に語る。
しかも、症状が出るたびに別の病気として治療を受け、その際に服用した薬がSJS反応を引き起こし、口内の潰瘍につながっていたことに当時の医師たちは誰も気が付かなかった。
SJSは皮膚と粘膜に生じる珍しい疾患で、激しい痛みを伴う発疹や水ぶくれを引き起こす。影響を受けた皮膚の表層は壊死し、剥がれ落ち、数日かけて再生し始める。
SJSは通常、薬剤が引き金になる。リチャードソンの症状もそこから始まった。しかし、2021年に新型コロナウイルス感染症にかかって以降、彼女は4度にわたってSJSで入院している。
リチャードソンはこの4年間、薬剤だけが原因ではないと繰り返し訴えてきたが、医師に「太陽光アレルギーがある」と信じてもらうのは容易ではなかった。
「医師たちは、私が生まれつき自己炎症性疾患を抱えていて、その結果として太陽に対する珍しいアレルギー反応が起きていると考えている。反応が起きるたびに免疫系に大きなダメージが加わり、完全には回復しない。症状が出るたびに免疫系が弱まり、さらに反応が起きやすくなる」
「日光がSJSを引き起こしていると話しても、多くの医師はいまだに信じてくれない。3年ほど前になってようやく、日光過敏があることは認められたが、光線誘発性SJSはほとんど例がなく、多くの医師は日光過敏とSJSが同時に起きていることを受け入れようとしなかった」
長年訴えを退けられてきたにもかかわらず、リチャードソンは答えを求めて検査、画像診断、生体検査、診察、血液検査を続けた。そして未診断疾患ネットワーク(UDN)の検査を経て、昨年ようやく専門医がSJSの可能性を示した。
医師を説得し、診断を受けるまでの過程で、リチャードソンは完全に孤立していると感じていたという。
「(診断を受けて、)最初は圧倒されるような喜びに涙が出た。でも今は怒りのほうが大きい。4度の入院、人生を通して積み重なった苦痛、そして医師から繰り返し否定され続けた末に、ようやく私の言葉に耳を傾けてもらえたことへの怒りだ」
オンライン医療サービス「Treated.com」の臨床責任者であるダニエル・アトキンソン医師によると、SJSに関連する日光過敏は珍しく、生活の質に「大きな影響を与える」可能性があるという。引き金になるのは通常、紫外線だが、SJSの一般的な誘因として認識されていないため、診断が難しくなるという。
診断にはしばしば生体検査や血液検査が用いられるものの、日光曝露そのものを原因として特定する検査は存在しないとアトキンソンは指摘する。
「治療は通常、根本原因、つまり誘因への対処が中心になる。しかし誘因が日光となると管理が難しい。また、(リチャードソンのように)多くの薬剤にアレルギーがある場合、治療そのものがリスクとなり、症状を悪化させる可能性があり、効果的な治療の選択肢が限られてしまう」
SJS反応が起きると、リチャードソンの口内には潰瘍ができる。しかも反応は回を重ねるごとに悪化しており、今では喉にまで広がっている。次に症状が出た場合、話すことも飲み込むことも耐えられないほどの痛みが出て、経管栄養(胃や小腸にチューブを挿入し、栄養や水分を吸収する栄養補給方法)が必要になる可能性がある。
症状は顔や鼻腔にも広がり、皮膚には三度熱傷に似た潰瘍ができる。リチャードソンはこれらの潰瘍は「かなり痛い」と本誌に語る。彼女にできることは、紫外線を避けることだけだ。
診断を受けて以降、リチャードソンは3種類の免疫抑制薬を試したが、いずれにも副反応が出てしまった。
「私にできるのはUV曝露を完全に避けることだけ。軽い反応に抑えるか、反応の間隔を少しでも長く空けられれば、そのぶん免疫系が回復する時間が得られるはず」とリチャードソンは語る。
「とはいえ、外出を完全に避けるのは不可能。家を出るときは全身をUV防護の装備で覆う。太陽光に10秒当たるだけで反応が起き、30秒なら入院になる。常に過剰なほど注意しているから不安も大きい。だから週に1回ほどしか家を出ない」
もちろん、外出時の「全身防護」を見た人々が驚くことも少なくない。道行く人の多くは戸惑った様子を見せるが、リチャードソンはできるだけ前向きに捉えるようにしており、質問されれば喜んで説明するという。
リチャードソンの症状がさらに厄介なのは、治療に使われる複数の薬剤にアレルギーがあるため、治療・検査等に使用できるものがモルヒネとバリウムに限られていることだ。
リチャードソンは、自身の生活を「ヴァンパイア」として記録するため、TikTok(@vampireisem)で発信を始めた。SJSへの理解を広げ、より多くの人に知ってもらいたいという思いからだ。
自身の声が届くまでに長い年月を要したが、同じ状況にある人たちが、自分のように長く闘い続ける必要がない未来を願っている。
また、医療費によって貯金が底をつき、働きに出られる状態でもないことから、彼女は支援を募るために「GoFundMe」のページも開設している。
「私はほとんどの時間を『生き延びるためのモード』で過ごしていて、自分の話がどれほど衝撃的なのかを忘れてしまうことがある。ただ、1日をなんとか乗り切ろうとしているだけだから。けれど、自分の経験を共有することで、人生への見方が変わった」とリチャードソンは語る。
「もし医師が、口内の潰瘍や性器のかゆみで受診した患者が重度のアレルギー反応を起こしていないか確認してくれないのなら、患者自身が知識を持つしかない。私の経験が、医療の答えを求め続ける勇気につながればと思う。誰も代わりに闘ってはくれないのだから」
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