性犯罪・性暴力・セクハラで懲戒処分などを受けた教員数の推移

 文部科学省が22日に発表した人事行政状況調査によると、2024年度に性犯罪、性暴力やセクハラで処分された公立学校の教員は281人だった。過去最多だった前年度から39人減少したが、12年連続で200人を超えた。教員グループが盗撮画像などを共有したとされる事件が25年度に発覚したことも踏まえ、文科省は「より一層強い対策をとる必要がある」としている。

 処分された281人のうち280人には過去の処分歴がなかった。「教員による児童生徒性暴力防止法」で義務づけられた処分歴に関するデータベースの確認をしたとしても被害を防ぎきれない状況が浮かんだ。

 所属校の児童生徒を含む子どもへの性暴力で処分を受けたのは134人。同様の分類で集計し始めた19年度以降では、23年度の157人に次いで多かった。加害の内容は性交が38人で最多、盗撮・のぞきは2番目に多い34人だった。

 教員による子どもへの性犯罪は後を絶たず、25年6月には児童を盗撮し画像を交流サイト(SNS)で共有したとして名古屋市などの教員が逮捕された。

 この事件を受け、文科省は緊急で自治体に対策を要請。今回の調査で初めて取り組み状況を聞き取ったところ、25年10月時点で全67自治体が児童生徒と教員が密室状態になることを回避するよう指導し、60教委は私有スマートフォンの利用や画像データ管理に関するルールを策定していた。残る7教委も年度内に策定予定という。

 文科省の担当者は「(性加害に及ぶ教員が)少しでもいる限りは非常に問題だ」と強調。性暴力根絶に向けた自治体の具体的な取り組みを示した指針について、私有スマホやSNSが悪用されるケースを念頭にした記載を追加する方向で年度内に見直す方針を示した。

 24年度に懲戒処分・訓告などを受けた教員は全体で4883人(前年度比54人増)。交通違反・事故での処分が2506人(同204人増)で最も多く、暴言や罵倒など不適切指導が485人(同24人減)、体罰が311人(同32人減)と続いた。【斎藤文太郎】

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