文部科学省は22日、全国の自治体や私立校を運営する学校法人などを対象に、児童生徒らへの性暴力によって教員免許を失効した人物の情報を登録しているデータベース(DB)の活用状況を調べたところ、7割の団体が適切に活用していなかったと発表した。DB活用は2022年施行の「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づく義務だが、多くの団体で法律違反が常態化していた恐れがある。
同法は自治体や学校法人などに対し、教員として採用しようとする人物の処分歴の有無を文科省が運用するDBで調べるよう義務づけている。罰則はない。
名古屋市の教員らが児童の盗撮画像を交流サイト(SNS)で共有したとされる事件後、各地でDBが活用されていない事例が発覚。文科省が8~12月、教員の採用権がある自治体や学校法人など約1万2000団体から活用状況を聞き取った。
その結果、DBの運用を始めた23年4月以降に教員を採用した1万524団体のうち、69・4%にあたる7306団体はDBを適切に活用していなかった。ユーザー登録をしていなかったり、活用が義務だと知らなかったりしたほか、非常勤や女性の採用時には不要だと認識していた事例もあった。
活用していなかった団体の割合は、都道府県・指定都市が16・4%だったのに対し、学校法人などは71・9%に上った。幼稚園などを運営する小規模な団体に制度の趣旨が浸透していない可能性があり、文科省は利用方法の周知に努める。調査時点で適切に活用していなかった団体は全て、文科省に対して今後の活用を約束したという。【斎藤文太郎】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。