東京都品川区内のリニア中央新幹線トンネル工事現場近くで道路が隆起した問題で、JR東海は22日、掘削工事の不十分な施工管理が原因とみられると発表した。削った土砂とともに掘削機内にたまった空気が地上まで上昇し、道路を押し上げたと推測している。

 現場は地下40メートル以下の「大深度地下」を通る第1首都圏トンネルのうち、JR品川駅付近から品川、大田区などを経て多摩川方面に向かう「北品川工区」。地下約80メートルの掘削現場から水平距離で約5メートル離れた区道が10月、最大約13センチ隆起した。

 JR東海によると、掘削機のうち、削った土砂を取り込む「チャンバー」内の圧力管理が不十分だったため、内部に空気がたまった。この空気が地層内の亀裂などを伝って短時間で地上に噴出したとみられるという。

 再発防止策として、チャンバー内の圧力を監視する新たなシステムを掘削機に搭載する。来年2月に住民説明会を実施し、その後の工事再開をめざすという。

 大深度地下の工事は、地上に影響が出ないという前提のもと、法律で地権者の同意や用地買収は不要とされている。一方、第1首都圏トンネルでは昨年10月、東京都町田市内の「小野路工区」でも掘削工事が原因で民家の庭に水や気泡がわき出る事象が起きている。

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