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<生後2週間の赤ちゃんの様子を撮影した動画。通常とは違う足の動きがきっかけで病院を受診することになった結果、「神経芽腫」であることが分かったという>

米テキサス州サンアントニオに住むケイティ・マルティネスは、生まれて間もない娘の足が「何だかおかしい」と感じ、その様子を撮影した。この時の動画はSNSにも投稿したのだが、それが大きな注目を集めている。マルティネスの直感が悪い形で的中してしまい、娘が思いもよらない病気の宣告を受けることになったからだ。

■【動画】この「足の動き」はおかしい? 赤ちゃんの映像を、母親がネットに公開...「小児がん」の症状だったと判明

「娘がMRI検査を受けるために全身麻酔をかけられることを心配していたのだが、その先にもっと恐ろしい知らせが待っているなんて、想像もしていなかった」と、2児の母であるマルティネスは本誌に語った。

今年8月、マルティネスが女の子を出産して2週間後、彼女の母親から新生児の足に異常があるのではないかと言われた。通常なら赤ちゃんの足の裏を刺激すると、指を反らすように開く反応(バビンスキー反射)を示すが、生後2週間のペネロペの左足にはその反応が見られなかったのだ。

当初、マルティネスはそれほど深刻には考えず、時間が経てば自然に解決するものだと思っていた。「新生児との生活は本当に疲れるし、3歳の子供もいたから、2人を育てる生活に慣れるのに精一杯だった」と彼女は語る。

「母がペネロペの足のことを教えてくれたときに思ったのは、彼女はお腹の中にいた期間が長かったので、足の位置が悪くて締め付けられるような状態だったのではないかということだった」

「ドロップフット」の存在を知り診察を受けた結果

しかし彼女は、インターネットで「ドロップフット(下垂足)」という言葉をネットで見つける。これは神経や筋肉などの問題によって足の前部を持ち上げられない状態を指す。マルティネスはペネロペの症状と合致していると感じ、将来的に装具か理学療法が必要になるかもしれないと考えるようになった。

そして生後3週間を迎え、マルティネスの不安はさらに高まっていた。記念撮影をしようとした時、「ペネロペの足に本格的な不安を覚えるようになった。あまりにもぐったりして反応がなく、『何かがおかしい』と確信した」と語る。

そこで翌日、ペネロペを連れて小児科医の診察を受けた。医師はマルティネスの訴えを真剣に受け止め、小児整形外科、小児神経科、理学療法を紹介。すると神経科で実施された超音波検査により、脊椎に嚢胞があることが判明した。神経外科に回され、MRI検査の実施が決まった。

マルティネスはMRI検査に不安も感じていたが、リハビリを受けて普通の生活を送れるようになるのだろうと楽観していたという。

だが、その希望は打ち砕かれる。「夫と一緒に娘の回復室にいると、神経外科の看護師が話しかけてきた」とマルティネスは言う。「てっきり診察の予約についての話だと思っていたら、娘の腹部に腫瘍が見つかり、それが脊椎を侵しているという検査結果を伝えられた」

「そんな病名を耳にしたのは初めてだったが、診断は『神経芽腫』だった。その後、娘は中等度リスクの神経芽腫だとはっきり診断されるまでに、多くの検査を受ける必要があった」

5歳未満の子供に見られる神経芽腫とは?

神経芽腫は、未成熟な神経細胞に発生する希少な小児がんで、5歳未満の子供にできることが多い。副腎に発生するケースが多いが、脊髄、腹部、胸部、首の神経組織に発生することもある。

ペネロペのバビンスキー反射の異常が、がんの兆候だったとは、当然ながらマルティネスは想像もしていなかった。それでも診断を受けて以降、ペネロペはすでに2回の手術を受け、化学療法も実施されており、さまざまな種類の検査も繰り返し受けている。

ペネロペは化学療法の影響で疲れやすくなってはいるものの、いつも笑顔を絶やさないという。そんなペネロペと家族の体験を記録する意味もあり、マルティネスは動画をTikTokで発信している。神経芽腫という病気への認知を広げようという意図もある。

中でも、バビンスキー反射がきっかけでがんが発覚した経緯を紹介する動画は、36万回以上再生されている。

マルティネスは、子供の健康に不安を感じたら迷わず声を上げるべきだと訴える。「信じること、希望を持ち続けることで、必ず癒しはやって来ると伝えたい」と、彼女は本誌に語った。「どんな状況にあっても、希望はある。子供は本当に強くて回復力があり、逆に親を支えてくれることもある。彼らは本当に奇跡のような存在だ」

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