国立がん研究センター研究所=同センター提供

 国立がん研究センターなどの国際チームが、世界各国で2000~17年に診断された若年発症がんの動向を分析したところ、日本では子宮体がんと子宮頸(けい)がんで、罹患(りかん)率と死亡率の両方が増加していることが明らかになった。研究チームは背景について「さらなる検討が必要」としている。

 チームは日本を含む世界44の国・地域で、20歳以上50歳未満の若年で発症したがんの動向を調べた。複数の国で子宮体がんと大腸がんの罹患率と死亡率がともに増加していた。いずれも早期発見・治療がなければ死亡のリスクが高くなることが知られている。

 子宮体がんの罹患率と死亡率は、日本や米国、韓国などでいずれも増加しており、日本では罹患率が高齢発症に比べて顕著に増えていた。

 また、日本だけが子宮頸がんの罹患率と死亡率の両方が上昇していた。ただし死亡率のデータがない地域もある。チームの鵜飼知嵩・同センター研究所統合がん研究分野長は「今回の研究のみで、日本だけで罹患率と死亡率がともに上昇したと言い切ることはできない」と説明する。

 日本では原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンの積極的勧奨が13年に差し控えられたが、研究データは17年までのため、その影響は考えにくいという。鵜飼分野長は「差し控えの前からのワクチン接種率の低さ、初交年齢の若年化、検診受診率の低さなどが考えられる。さらなる検討が必要だ」としている。

 子宮体がんについては、食生活の欧米化や肥満、少子化などに伴う女性ホルモンの影響などが一因として考えられるという。

 論文は11月14日付の国際科学誌「ミリタリー・メディカル・リサーチ」に掲載された。【寺町六花】

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