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<少し工夫するだけで、相手との会話は驚くほど広がる。感じのいい人が実践している「ちょい足しフレーズ」のコツを紹介する>
12月に入り、挨拶で「寒いですね」というフレーズがよく使われるようになってきた。だが「寒いですね」だけでは、その後の会話や関係を深めるためのきっかけになりにくい。長年、言葉遣いの研究している東香名子さんに、感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている最強のフレーズを教えてもらった。(ウェブメディアコンサルタント 東 香名子)
「寒いですね」ばかりでは退屈な印象を与えてしまう
12月に入り、日に日に寒くなってきた今日このごろ。仕事やプライベートでは、冬の挨拶(あいさつ)として「寒いですね」というフレーズがよく使われます。
相手と「寒い」という気持ちを共感する、当たり障りのない定番のフレーズです。しかし相手に良い印象を残したいなら、それだけでは十分とは言えません 。
私は「バズる表現」の専門家として、多くの人の心を掴む表現を日々研究しています。
バズる記事において、最初の一文目が最も大切だと言われているのと同様に、人に会ったときも、最初にかける一言を大切にしましょう。その日の最初のセリフが、相手に与える印象を大きく左右するからです。
「寒いですね」という挨拶は便利ですが、日々使うことで陳腐化していきます。毎日会う人に「寒いですね」ばかり言っていると、「とりあえず言っているのかな」「心がこもっていないな」など、退屈な印象をもたれがちです。使い古された表現であることから、血が通っていない印象を与えることがあります 。
また、誰にでも使える汎用(はんよう)性の高い言葉であるため、相手の印象に残りづらい傾向があります。相手によっては堅苦しく感じたり、心の距離があるように思われたりしてしまうことも。
相手との心の距離をグッと縮める一言を加えてみて
結果として、単なる事実の確認にとどまり、その後の会話や関係を深めるためのきっかけになりにくいのです。
今日からは、形式的な「寒いですね」という挨拶に終わらせず、相手との心の距離をグッと縮める一言を加えてみませんか。その日会ってすぐに相手のことを思いやり、あたたかい表現を心掛けることで、あなたを「感じのいい人だな」と思うようになります。
ここからは、さりげない言葉なのに、温かいコミュニケーションを生み出す「ちょい足しフレーズ」を紹介します。
温かさを連想させるワードで共感を呼ぶ
寒い日にみんなが欲しいものといえば、何でしょうか。それは「温かさ」です。
感じのいい人は「寒いですね」という言葉に加えて、温かさを連想させる「あったかワード」をちょい足ししています。そうすることで、親近感を出し、相手の心もほっこり温めることができます。
たとえば、あったかい食べ物や飲み物で共感を呼ぶフレーズは鉄板です。
寒いですね。温かいお鍋やおでんが恋しくなります」といった表現や、「熱いお茶やコーヒーが手放せません」「ホカホカの肉まんが食べたくなりますね」など、体をあっためてくれそうなメニューを名指しで言ってみましょう。
相手は思わず湯気が立ち上る場面を想像し、一瞬だけでも心が温まるでしょう。
同じように、あったかい場所やアイテムについて言及するのも、相手の心を温めてくれます。「寒いですね。温泉に入ってゆっくりしたいですね」「ストーブの前で猫のように丸まっていたいですね」「こんな日はこたつでみかんが一番ですね」としてもよいでしょう。
これらの具体的であったかい描写は、相手に「わかるわかる」という共感を呼び、少しばかりの心の温かさを共有できる効果があります。
相手をねぎらう一言で人間味が加わって好印象に
また、これらの「あったかワード」に加えて、相手をねぎらう一言を添えることで、より好印象を与えることができます。単なる挨拶(あいさつ)ではなく「あなたの体調を気にかけていますよ」という思いやりを具体的に伝えましょう。
形式的でビジネスライクなやり取りの中に人間味が加わり、「感じがいい人だな」という印象が強まります。
例えば「あったかい湯船に浸かって、今日の疲れを癒やしてくださいね」や、「お家で暖かくして、風邪をひかないようにしましょうね」といった感じです。
このように、具体的な行動を促す一言は、相手の状況に寄り添っているメッセージとして伝わります。ただの定型文にはない、ほっこりした温かさを相手に感じさせることができます。
「未来」の楽しい予定を共有して人間的なつながりを深める
相手とより関係を深めたいなら「未来」について触れるのも良いでしょう。「春が来たら」「暖かくなったら」「来年は」など、未来を予感させるワードを入れてみましょう。
「春が来たら、またゴルフに行きましょう」「暖かくなったら、テラスで飲みましょう」「来年は花見をしましょう」などです。再会や楽しい未来を予感させることで、「今後もあなたとの関係を大切にしたい」という意気込みが伝わり、相手にワクワク感を与えることができます。
共通の趣味や楽しいプランを持ち出すのがコツです。ビジネスの枠を超えた人間的なつながりを深められ、その場がパッと明るく、温かい印象になります。
未来の楽しい予定を共有することは、この寒さを乗り越えるための活力となり、あなたの心遣いとして強く印象に残るでしょう。
その日の気温や天気の具体的な情報をちょい足し
「寒いですね」に加え、その日の気温や天気について話すのも、感じのいい人がひそかにやっているテクニックです。単に「寒い」という事実を伝えるだけでなく、「有益な情報を与えてくれる人」という印象を与えることができます。
たとえば「本当に寒いですね。今朝は東京でも最低気温が2度まで下がったようです」と客観的な情報に触れてみる。「今日は8度までしか上がらないので、あたたかく過ごしましょうね」など、相手を気遣うフレーズと組み合わせてもよし。「朝は寒いけど、お昼は13度くらいまで上がるようです」として、「あったかワード」を仕込むこともできます。
このように、具体的な情報をちょい足しすることで、挨拶が陳腐化せず、コミュニケーションに人間味が加わるのです。
特にビジネスパーソンならば、毎日ニュースや天気予報をチェックしているという、情報感度の高さもアピールできるので一石二鳥です。世の中の動きに常に気を配っているという印象を与え、信頼感の醸成にもつながります。
暑い国の気温について触れるのも面白い
よりグローバルな視点を加えるなら、暑い国の気温について触れるのも面白いでしょう。「日本はこんなに寒いのに、オーストラリアは夏で、30度近くあるようです」などです。
あくまでも暑い国に言及するのがポイントで、「シベリアはマイナス30度で、氷に閉ざされているようです」など寒い国について触れるのは、お互いがより寒く感じるのであまりオススメできません。また「正月は常夏のハワイに行くんです~」なども、自慢にとられるのでやめておきましょう。
冬の定番の挨拶である「寒いですね」。誰もが使う定番のフレーズですが、単に事実を伝えるだけで終わらせてしまうと、相手の心には残りません。感じのいい人は、今回紹介したような「ちょい足しフレーズ」を駆使しています。
形式的な挨拶に「あったかワード」「相手への心遣い」を加えて、相手の心をちょっとだけ温めてあげましょう。

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