安部加代子さんがインスタグラムで紹介している「#集中力UP弁当」。血糖値の急な上昇を抑える雑穀を使っている=本人提供
写真一覧

 いよいよ受験シーズンが本格化。コンディションを万全に整え、本番で最高のパフォーマンスを発揮するには、どんな食事を取ればいいのか? 「受験メシ」の専門家に、受験生を支えるお薦めの「勝負メシ」を挙げてもらった。

「生、脂っこい、激辛」はNG

 「日々の食事も間食も、取り方次第では、集中力や眠気、風邪の引きやすさといったことに影響を与えます。今からでも、気を配るのは決して遅くありません」

 こう話すのは、料理研究家で「受験フードマイスター」の安部加代子さん(51)だ。2人の子どもを育てる母親でもあり、長男は東大、次男も首都圏の難関私立高に通っている。

 受験フードマイスターとは、民間資格の一つで、食材や栄養に関する知識を生かして、受験生を食からサポートする知識を持つ専門家のこと。安部さんは長男の中学受験を機に、養成講座を修了した。

 受験生のコンディションを整える上で、カギを握るのは当然ながら「栄養のバランス」だ。

 三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)だけではない。それらの代謝を促す「潤滑油」となるビタミンやミネラル、整腸作用がある食物繊維を含めて、しっかり摂取したい。

受験フードマイスターの安部加代子さんは、インスタグラムで受験生向け弁当のレシピなどを紹介している=スクリーンショットより
写真一覧

 特に、この時期は試験が続くため、体調は結果を左右しかねない。生ものや脂っこい食べ物、極端に辛いものは消化が悪く、胃腸や睡眠の質の確保のためにも避けた方がいいという。

 どこかの政治家のように、カツカレーやカツ丼で験担ぎを……なんて人もいるかもしれないが、「受験期間中は、どうか控えてください」と、安部さんは注意を促す。

調理の時間がなくても工夫次第で

 家庭ごとに環境はさまざまで、保護者も十分に調理の時間が取れない場合だってある。

 安部さんも受験生向きのレシピを紹介すると、保護者から不安げに「手作りした方がいいのでしょうか」と聞かれることが少なくないという。皆さん、悩まれているようだ。

 「手作りさえすれば、いいってわけではないんです。市販の総菜でも、さまざまな食材を使ってバランスよく栄養を取れるように選べばいいんですから。ただ、その場合も、お子さんには『これとこれは、こんな栄養があるから食べるといいよ』と理由を添えて伝えてあげると意識するようになりますよ」

 調理の時間がない場合のお薦め食材として、安部さんが挙げるのは、サバやイワシといった青魚の缶詰だ。水煮は汁ごと使って野菜スープやみそ汁に、かば焼きやみそ煮といった味付けされたものは、せわしない朝でもご飯のおかずになる。

安部加代子さんの「#疲労回復弁当」は、抗酸化作用があるポリフェノールのアントシアニンを含む紅色の大根「紅くるり」をおかずに加えている=本人提供
写真一覧

おやつにはナッツ類や高カカオを

 間食でも、工夫できることはたくさんある。

 ナッツ類や高カカオのチョコレート、チーズ、ヨーグルトは、ビタミンやたんぱく質、良質な脂質などが豊富で、コンビニでも手軽に買える“疲労回復”のサポートアイテムだ。

 また、バターや生クリームを多く使う洋菓子や菓子パンに比べ、ようかんなど小豆を使った和菓子の方が油分が少なく、たんぱく質も取れ、胃腸に負担がかかりにくい形でエネルギーも補給できる。

 おやつには、ついついスナック菓子や、フライドチキンやポテトなどのファストフードに手を伸ばしがちだが、間食も上手に選べば受験生のパフォーマンスを上げる栄養補給につながるというわけだ。

 ただ、安部さんからはこんなアドバイスも。

 「食事や間食は、栄養補給だけでなく、リラックスしたり食べることを楽しんだりする時間でもあります。たまには好きな物を口にして、気分を切り替えるのもいいと思います」

安部加代子さんがインスタグラムでレシピを紹介している「さつまいものガレット」。おやつにもぴったりだという=本人提供
写真一覧

家族も無理せず応援を

 「『今日はお弁当を作るの嫌だなあ』って思うことは、私だってありますよ」

 そう胸の内を明かす安部さんは、最後にこんなエールを受験生の保護者に送った。

 「受験は長丁場です。食事の面で張り切りすぎても、親もしんどくなってしまいます。子どもの体調も大事ですが、家族も無理はしないでほしいです。市販の食品であっても、栄養のことを考えて選んできたことは『応援』として子どもにきっと伝わります。それぞれができる形でサポートし、送り出してあげてくださいね」【千脇康平】

料理研究家で受験フードマイスターの安部加代子さん=本人提供
写真一覧

あべ・かよこ

 1974年生まれ、大阪府出身。受験生向け料理のレシピの監修や、保護者を対象にした食育イベントの講師のほか、インスタグラム(@vegelabo.kayo)で「受験フード弁当」のレシピの紹介なども手がけている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。