軽度外傷に伴い、たんぱく質「タウ」が蓄積するメカニズム=木村妙子・東京大助教提供

 アメリカンフットボールやサッカーといった選手同士の接触があるスポーツで頭部外傷を繰り返すと、たとえ軽度であっても認知症のリスクを高める可能性があるとの研究結果を、東京都医学総合研究所と東京大の研究チームが発表した。

 認知症の中で最も多いアルツハイマー病は、「タウ」と呼ばれるたんぱく質が脳内に蓄積され、神経細胞が壊れて起こる。正常な機能を失ったタウは、周囲のタウの構造を変えて脳内に広がる。

 チームは、①野生型マウス②タウがたまりやすい遺伝子変異を加えたマウス③野生型の脳に異常なタウを直接注入したマウス――の3種類について、眠らせた状態で、人がヘディングによって受けるのと同程度の衝撃を与えた。これを3日空けて計5回繰り返した。

 その結果、野生型では変化がなかった一方、遺伝子変異マウスでは脳の大脳皮質(運動野と体性感覚野)でタウの蓄積が2割増えていた。また異常なタウを注入したマウスでは、病変が広がる速度が速まっていた。一方でマウスの寿命は人と比べ非常に短いため、野生型で影響がないとは言い切れないという。

 東大の木村妙子助教(神経病理学)は「スポーツなどで繰り返し外傷を受けていると、将来的に認知症などのリスクが高くなる可能性がある。頭部を防護することや、外傷がある場合は脳内の炎症が落ち着くまで中断期間を設けることが大切だ」と話した。

 研究成果は、神経病理学の学術誌アクタ・ニューロパソロジカ・コミュニケーションズ電子版(https://link.springer.com/article/10.1186/s40478-025-02177-8)に掲載された。【垂水友里香】

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