春が近づき、暖かい日が増えると、花粉症患者にとってつらい時期がやって来る。今年は全国的に平年を上回る飛散量が予想されており、今から憂鬱になっている人もいるかもしれない。
いまや2人に1人が患者とされ「国民病」と呼ばれる花粉症だが、仕事にも深刻な影響を与えていることが明らかになってきた。
約9割が仕事に「影響ある」
大手電機メーカー「パナソニック」が昨年12月に全国の20~60歳の男女6601人を対象に、インターネット上で実施した「社会人の花粉に関する調査2026」によると、約半数に当たる2933人が花粉に「とても困っている」「やや困っている」と回答した。
2933人から無作為に抽出した1651人に、花粉が仕事のコンディションに影響しているかを尋ねたところ、「そう思う」(41・4%)、「どちらかというとそう思う」(47・2%)と答えた人は計88・6%に上った。
パフォーマンスが低下していると感じる時間は、平均約3・2時間で、「8時間以上」と答えた人も210人いた。
さらに、調査結果に、国の毎月勤労統計調査や労働力調査を掛け合わせるなどして、花粉症で労働力が低下したことによる経済損失額を推計したところ、1日あたり約2450億円に上ることも判明した。
企業も危機感
花粉症による仕事のパフォーマンス低下に危機感を抱き、従業員をサポートする取り組みを始めた企業もある。
高齢者向け配食サービス「クックデリ」(大阪市)では昨年、従業員の花粉症治療費を年1回最大4000円まで補助したり、高保湿ティッシュを配布したりする福利厚生制度「花粉症手当」を作った。
きっかけになったのは、従業員の困りごとを知るためのアンケートだったという。その結果、約半数が花粉症患者で、そのうち89%が「花粉症による鼻づまりや頭痛が原因で、仕事で100%のパフォーマンスが出せていない」と感じていることが分かった。
食品の開発に携わる従業員からは「香りや味の感覚にも影響が出る」と切実な訴えも届いた。
「患者の多さには驚きました。私自身もその一人ですが、症状で仕事中に気が散ってしまうこともよくありました」。ウェルビーイング推進室の本田真美さんはそう振り返る。
パフォーマンス低下は「もったいない」
昨年、手当を利用したのは従業員150人のうち30人ほどだ。
効果について、従業員からは「症状が緩和した」や「費用が抑えられた」などの声とともに、「花粉症によるパフォーマンスの低下だと会社が認めてくれたようでうれしい」との感想も寄せられた。
今年は手当をさらに拡大し、レーザー治療や、根本治療の「舌下免疫療法」、アレルギー検査も補助の対象としたほか、マスクの配布も始めた。
室長の高橋輝圭さんは「クックデリは従業員150人の少数精鋭。1人でもパフォーマンスが落ちるのは、会社にとって、もったいないことだと感じています。これからも100%に至らない原因を潰していけたらと考えています」と話した。【田中理知】
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