
京王電鉄の総合高速検測車「DAX」。主に2カ月に1回、通常の電車同様の最高時速110キロで走りながら、レーザーやカメラ、センサーなどを使って線路や架線の状態を検査します。

いわば京王線の「お医者さん」といえる存在ですが、自身の健康も大切です。8月上旬、大がかりな定期検査に入ると聞き、東京都稲城市と川崎市麻生区にまたがる車両管理所にお邪魔しました。
最初に訪れた日は、床下の検測機器が外されるところでした。各車輪のそばに付けられているのは「光式レール変位検出器」という装置です。レール上にレーザー光を当て、光の位置変化を見ることで軌間(レールの間隔)などを測定しています。

台車周りにはいくつかのアームもついています。車軸に合わせ上下に動くアームはレールの高低を、台車に合わせ左右に動くアームは軌道が左右方向に通常よりゆがんでいないかを測るためのものです。それぞれのアームの端には変換器がつけられていて、動きを電気信号に変え車内の演算装置に送ります。
車内も見せてもらいました。中央には大きな机があり、架線の状態をチェックするモニターや、軌道の状態をチェックする機器、計測器から送られてきたデータの処理装置などが備えられています。通常は架線と軌道それぞれの検測担当者が2人ずつ乗り込みます。

「他の車両に比べちょっと違和感がありませんか」と、同社の保線担当の赤坂恭央(やすお)課長補佐。確かに、少し天井が近い気がします。実は、車内が二重床になっているのです。

床の間には、「レーザ基準装置」などが付けられています。DAXは通常の電車同様、軽量のステンレス素材で作られていて、車体自体が走行中わずかにたわんでしまいます。そのままだと測定結果に影響が出てしまうため、線路と平行に真っすぐなレーザー光を通して基準の線とすることで、その影響を補正しているのです。
各検測機器はいったん取り外されてメーカーによる専門的な検査を受け、10月ごろまでに車両に戻される予定です。その間、工場では台車や運転台など、車両の主要な部分の検査を行います。
2日後、再び取材にお邪魔すると、車体を台車から離してつり上げる作業をしていました。大型のクレーンが20メートル近くもある車体をつり上げ、そのまま工場内をスライドさせていきます。数十メートル移動させて作業場所に下ろされると、ほどなくして十数人の担当者が集まり、床下装置や運転台、連結部に付けられた端子などを丹念に検査し始めました。

旅客用の電車とは異なり、DAXは一点ものの車両です。検修の担当者は「通常の流れと違う点が多いので、手順を確認しながら慎重に作業をしています」。
車両は約3カ月後に復帰第1回目の検測走行をする予定です。その様子は、また別途記事にできればと思います。【渡部直樹】

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