中年期の健康的な生活で10年後の認知症を防げるかもしれない ONE PHOTO/SHUTTERSTOCK

<電子カルテ研究で明らかになったアルツハイマー病に先行する4つの疾患>

中年期にかかった病気から、アルツハイマー型認知症になるリスクを特定できるかもしれない。また、それらの病気に早い段階で対処すれば、アルツハイマー病の発症率を半減できる可能性がある。そんな研究結果が発表された。

【動画】アルツハイマー病の治療が難しい理由

2025年12月に英科学誌に掲載された研究論文によると、米バンダービルト大学医学部のチームは、電子カルテのデータを用いてアルツハイマー病と診断される前の10年間にかかった病気を調べた。


アルツハイマー病は発症の10〜20年前から進行することが判明している。これまでにも中年期の高血圧症や脂質異常症、脳卒中との関連が指摘されてきたが、今回の研究ではそうした疾患が全部で70にも上ったという。

「10年後にアルツハイマー病を発症する可能性を示す疾患のリストがあれば、記憶障害や認知障害といった症状が現れる前に対処できるかもしれない」と、論文の執筆を担当したバンダービルト大学のシュエ・チョン教授は述べる。

「アルツハイマー病の発症を5年遅らせることができれば、発症率自体を半減できる可能性がある」

因果関係は不明だが

研究チームが分析したのは、保険金請求があった1億5000万人以上の電子カルテのデータベース「マーケットスキャン」と、バンダービルト大学医療センター(バンダービルト・ヘルス)の約300万人の電子カルテ情報だ。

まず、アルツハイマー病と診断された約4万5000人と、年齢と性別が一致する約43万人の対照群を構築。アルツハイマー病と診断される前の10年間の病歴を調べて、対照群と比較したという。


分析の結果、両方のデータベースに共通してアルツハイマー病患者に見られる病歴が70以上確認された。大まかに分けると、精神疾患(鬱病や偏執症など)、睡眠に関連する神経疾患(不眠症など)、循環器疾患(動脈硬化や脳虚血など)、そして代謝疾患(2型糖尿病など)の4種類だ。これらの疾患とアルツハイマー病との因果関係が今回証明されたわけではない。しかしこれらの情報はアルツハイマー病のリスクを早期に把握したり、予防研究を進める上で役に立つと研究チームは指摘する。

かねてから指摘されてきた、高血圧症や脂質異常症がアルツハイマー病のリスク因子であることも改めて確認された。従って、中年期に生活習慣の改善や薬物療法によってこれらの疾患に対処すれば、アルツハイマー病の発症率を低減できるかもしれない。

また、癌とアルツハイマー病の逆相関も確認された。アルツハイマー病患者は癌になりにくく、癌患者はアルツハイマー病になりにくい傾向が見られたという。「現在、このメカニズムを解明する研究を進めており、アルツハイマー病の新しい治療戦略につなげたい」とチョンは語る。

Reference

Zhong, X., Jia, G., Yin, Z., Chen, R., Cheng, K., Rzhetsky, A., Li, B., & Cox, N. J. (2025). Longitudinal analysis of electronic health records reveals medical conditions associated with subsequent Alzheimer’s disease development. Alzheimer’s Research & Therapy, 17(1), 263. https://doi.org/10.1186/s13195-025-01914-4




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