2027年度から主に高校2年生が使う教科書。生成AIの仕組みや活用する上でのリスクが相次いで取り上げられた=東京都千代田区で2026年3月18日、小林努撮影

 文部科学省は24日、2027年度から主に高校2年生が使う教科書の検定結果を公表した。11教科で224点の申請があり、220点が合格、4点が不合格となった。発展が著しい生成人工知能(AI)を取り上げた教科書が目立つものの、授業での活用を前提とした記載はほぼ見られなかった。さまざまなリスクが指摘される生成AIに対し、教科書会社の慎重な姿勢がうかがえる。

 不合格の4点はいずれも作家の竹田恒泰氏が設立した令和書籍が地理歴史の教科書として申請していた。文科省は、申請された教科書の記載のほぼ全てまたは一部が、中学段階で検定を合格した同社の教科書と同一だったことなどから「基本的な構成に極めて重大な欠陥がみられる」と判断した。

 現行の学習指導要領に基づく検定としては2回目。文科省によると、生成AIに言及した教科書は7教科で30点あった。21年度の前回検定時で記載箇所を数えておらず比較はできないが、文科省は「取り上げ方は深化している」とみる。

 掲載教科はプログラミングなどを扱う情報に限らず、国語や英語、社会、理科など文理を問わない。基本的な仕組みや利用法に加え、生成AIが誤る「ハルシネーション」や著作権侵害といった課題に関する記載も多い。

 ただ、生成AIの利用を前提とする実習や学習活動に関する記載は情報と芸術の計3点にとどまった。生成AIの活用方法を生徒に考えさせたり、表現活動の手法として紹介したりする記載で、対話やプロンプト(指示文)による文章や画像の生成を生徒に求める課題設定はなかった。

 担当者は「さまざまなリスクが指摘される中、現段階ではそこまで踏み込まない方がよいと各教科書会社が判断したのではないか」と推測する。

 ある教科書会社の担当者は「生成AIを用いた場合、どこまでを生徒自身の思考による成果と見なすかの評価指標がまだ教育現場で確立の途上にある。実践的な活用については今後の検討課題と捉えている」と話した。

 一方、現行の指導要領で掲載が減った小説については、実用的な文章を扱うことを想定している国語の科目「論理国語」の4点で、評論文を読む上での参考文献などとして掲載された。点数は前回2点から増えた。

 社会の各科目では、第二次世界大戦や領土問題に関する記載を含めて政府統一見解や最高裁判例に基づく記述ではないことを指摘する検定意見はなかった。【斎藤文太郎】

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