
割り勘もお小遣いもキャッシュレス――。高校生の間でキャッシュレス決済が広がっている。MMD研究所の調査で、直近半年にキャッシュレス決済を利用した高校生は62・1%にのぼることが明らかになった。
調査は今年7月、スマートフォンを持つ15~18歳の高校生1114人から回答を得た。
直近半年で使用した決済方法を複数回答で尋ねたところ、50・8%がQRコード決済を使用しており、スマホの非接触の電子マネーやクレジットカードのタッチ決済などを抜いて、キャッシュレス決済ではダントツだった。
QRコード決済を利用している高校生300人にさらに詳しく尋ねたところ送金機能を利用していた。そのうち74・7%が「家族間送金」を経験していた。
お小遣いや立て替えた費用の返金など、家庭内でのやり取りがスマホ経由で行われるケースが少なくない。
実際に、高校1年生の娘を持つ東京都の男性(56)は「毎月4000円のお小遣いのうち半分をPayPayで渡している」と話す。
娘は「友達との割り勘にも使いやすく、財布を持ち歩く煩わしさが減った」と喜ぶ一方、父親は「便利さの裏で出費が増えているのでは」と心配もする。
特に「PayPayで渡した分は1週間ほどで使い切ってしまうことが多く、手軽すぎて使いすぎないか心配」と本音を漏らす。
キャッシュレス時代に子どもの金銭教育はどのように養っていけば良いのだろうか。
「キャッシュレスが普及することで、確かに利便性は高まりましたが、子どもには、どこからお金が来ているのかが伝わりにくくなっています」

ファイナンシャルプランナーで、親子向けのマネー教育講座を開く「キッズ・マネー・ステーション」代表の八木陽子さんは説明する。
現金なら手渡しの際に「モノ」として目に見えるが、キャッシュレスではアプリの画面に表示される数字に過ぎず、お金としての実感が薄れやすいのだという。
そのため、現金よりも使う際の心理的な垣根が低くなりがちだ。
八木さんは「お金の感覚を身につけさせるにも、まず現金でのお小遣いから始めるのが望ましい」とアドバイスする。
一方でキャッシュレスの広がりは急速で、親が気づかないうちに高校生が後払いサービスを利用し、金銭トラブルに発展するケースもある。
「親子でお金についてオープンに話せる関係をつくり、困ったときに相談できる環境を整えることが大切です」【隈元悠太】
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