和歌山県有田市下中島のサービス付き高齢者向け住宅「健輝苑有田川」で昨年12月以降、経営難で介護職員らへの給料未払いが発生し、退職者も相次いでいることが分かった。退職した元職員ら12人が運営会社を相手取り、4月初めにも未払い分の支払いを求めて和歌山地裁に提訴する方針。
健輝苑は2015年2月、要介護者や要支援者を対象に開設。県から「特定施設」の指定を受け、個室(全54室)の家賃や食費などの利用料に加え、入居者への介護サービスを提供することで介護報酬を得ていた。
関係者によると、介護や看護、調理などの職員に対し、昨年12月と今年1月の月末払いの給料が支払われず、運営会社の社長が遅配分の支払いのめどとした2月6日にも支払われなかった。このため職員の退職が相次ぐようになり、提訴予定の12人への未払い額は2月末時点で計約740万円。3月末も未払いが続けば、更に膨らむことになる。
退職を検討中だった職員の1人は毎日新聞の取材に「経営状況の説明もなく、どうしてそんなにお金がなくなっていったのか分からない。『給料を返して』というのが皆の思いだ」と語った。
一方、健輝苑は3月半ばに特定施設の指定から外れ、介護サービスを提供できなくなったという。その時点で30人超いた入居者のほとんどは、住所地の市町が動いて別の施設に移るなどして退去したとみられる。
未払い賃金の8割を国が立て替え払いする制度はあるが、倒産したか、事実上の倒産と労働基準監督署長が認定することが要件となる。3月17日に職員側と交渉した社長は遅配分の支払いを確約しない一方で「倒産はしない」と繰り返し、交渉は決裂したという。
社長を務める海南市の男性は23日と26日の取材に対し、未払い分についていずれも「今日振り込む」と答えたが、支払われた事実はなかった。健輝苑については「入居者がいなくなれば休眠するつもり」と話した。【姜弘修】
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