
一見きれいに見える子供の肌。実はバリアー機能が未熟で、大人よりも肌トラブルが起きやすい。それにもかかわらず、特に肌ケアがおろそかになりがちなのが小学生だという。酷暑が続くなか、どうやって子供の肌を守ればいいのか。
「皮膚の厚さはどのくらいだと思いますか?」
「正解はラップと同じ(約0・02ミリ)」
7月下旬、横浜市で開かれた「キッズスキンケア講座」。小学2~5年の男女5人が参加し、クイズ形式で肌の仕組みやスキンケアの重要性を学んだ。

顔の洗い方や化粧水などの塗り方を実践したほか、肌の水分量を測る体験も。洗顔後の14%から、スキンケア後は48%に上がった児童は「元々の水分が少なくてびっくりした。普段はたまにスキンケアするくらい。3日に1回はできるように頑張りたい」と話した。
小学生はスキンケアの「空白地帯」
講座を開いたファンケルは2023年9~11月、子供75人の肌を調べた。その結果、8~12歳の子供の肌は水分量が大人の約3分の1、皮脂量は約5分の1にとどまることが分かった。

特に皮脂は幼児期から思春期にかけ急激に増えるため、水分量とのバランスが崩れがち。外的刺激から体を守るバリアー機能も未熟で、紫外線などによる肌トラブルが生じやすいという。
ファンケルによると、幼児期は保護者の意識が高く丁寧にケアすることも多いが、小学生になるとスキンケア商品の利用率は約2割に下がる。思春期を迎えてニキビができやすくなる前までのこの年代は、スキンケアの「空白地帯」(担当者)になっているという。

そこで23年11月から1年ほどかけ、私立桐蔭学園小学校(横浜市)の児童らと意見交換しながら、小学生向けのスキンケア商品を開発した。
大人向けと同じく防腐剤や人工添加物を使わず、外的刺激から肌を守る「ポリアミン」や、肌荒れ・ニキビ予防に有効な「グリチルリチン酸ジカリウム」などを配合した泡洗顔料とジェルミルクを24年12月に発売すると、2カ月で計画の2・5倍ほど売れたという。
増える紫外線、ニキビの原因にも

また、バリアー機能が未熟な子供にとって脅威となっているのが紫外線だ。気象庁が1990年から茨城県つくば市で定点観測しているデータでは、1年間に地表へ届く紫外線の量は増加傾向にあり、その増加率は10年当たり4・6%に上るという。
紫外線は日焼けによって肌が炎症を起こすリスクはもちろん、浴び続けると肌の水分量が減り、それを補おうと皮脂の分泌量が増えてニキビの原因にもなる。そのため夏場に限らず、対策が欠かせない。
資生堂は18年から、全国の小学校・幼稚園と連携し、累計約16万6000人の子供たちに日焼け予防教育を実施してきた。小学校には4年生以上を対象にしたテキストと動画を無償配布し、対策の必要性や日焼け止めの正しい塗り方をアドバイスしている。
それによると、日焼け止めを塗る際は、焼けやすい顔や腕は重ね塗りして、汗をかいたりタオルでこすったりしたら塗り直す。さらに2~3時間おきに塗り直すことで効果を保てる。帰宅後などはせっけんで落とし、保湿して肌を保護することが重要だという。

資生堂は無料のウェブサイト「キッズのためのキレイクラブ」も公開し、小学4~6年生向けに、化粧の歴史や日焼けの仕組み、ニキビ予防などについて解説している。担当者は「ハウツーを学ぶだけではなく、自分自身や多様な価値観についても考えることで、健やかに、豊かな人間に育ってほしい」と話し、家庭や学校などでの活用を呼びかけている。【鴨田玲奈】
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