
不眠症などに悩む患者が症状に応じて適切に医療機関を受診できる環境整備に向けて、厚生労働省は4日、看板などに掲げられる診療科名に「睡眠障害」を加えることの是非について専門部会で議論を始めた。日本人の睡眠時間は国際的にも短く、5人に1人が睡眠による十分な休息を取れていないとされる。2026年3月ごろの取りまとめに向けて議論する。
睡眠障害は、肥満や高血圧、糖尿病などあらゆる疾病のリスクを上げることが近年明らかになっている。米シンクタンクは16年、睡眠不足による日本の経済損失を国内総生産(GDP)の約3%に当たる年約15兆円と試算している。

医療機関が看板などで広告できる診療科の名前は「標ぼう診療科」と呼ばれる。日本睡眠学会が22年に厚労省に提出した要望書をきっかけに検討が始まった。同学会の内村直尚理事長は部会で「睡眠障害の医療アクセスの向上は不可欠だ。国民からも高いニーズがある」と述べた。
「内科」「精神科」など単独で掲げられるものと組み合わせ、「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」などと掲げることを想定している。政令改正などの必要な手続きを経て、早ければ26年中に各医療機関で掲げられるようになる見通し。【肥沼直寛】
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