
札幌市南区のゴルフ場「滝のカントリークラブ」で、男性ハンターが敷地内にいたヒグマ1頭を無許可で駆除したことが9日、明らかになった。鳥獣保護管理法違反に問われる可能性もあり、道や道警などは経緯や状況を慎重に調べている。
ゴルフ場によると、コース内で2、3日にクマが目撃され、市と警察に連絡。職員が巡回を強化したところ、4日午前11時ごろにクマを発見した。

ゴルフ場は約250人の客を避難させ、10年ほど契約しているベテランハンター1人を現場に向かわせた。3日連続でほぼ同じ場所で目撃情報があったため、エサなどの誘引物がある可能性を踏まえ、周辺を捜索していた。
すると4日正午過ぎに5メートル以内の距離で体長約1・4メートルのクマが現れ、足の動きから自身に向かってくると判断したハンターは5回発砲し、4発が命中。クマは死んだ。
ハンターはシカを捕獲する許可を得ているが、クマの許可はなく、ゴルフ場に駆除を報告。連絡を受けた道や道警が現地調査を行ったという。
クマの捕獲には時期や場所が限定された狩猟や、都道府県などが許可する有害鳥獣駆除(許可捕獲)などがある。今回の駆除はいずれにも該当せず、鳥獣保護管理法違反となる可能性がある。
通常であれば、クマの出没情報に基づいて札幌市が猟友会に駆除を委託するが、今回はしていなかった。ゴルフ場側は身を守るための「緊急避難」だったと主張している。
ゴルフ場の飛田寛大支配人によると、過去10年以上、クマ被害はなく、ゴミなどの誘引物が発生しないよう注意してきた。
「ハンターはシカ駆除のために契約していた。クマを撃たせてしまったことは申し訳ない」とする一方、ハンターからは「怖い思いをして緊急で撃ってしまった」と報告を受けたという。飛田支配人は「撃たなければ身を守れない状況だった」と釈明した。今後の調査にも協力するという。
道野生動物対策課の担当者は「市町村や警察に通報して対応を決めるのが一般的。クマの痕跡があったなら近づかないでほしかった」とした。【和田幸栞、片野裕之、水戸健一】
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