
中国から来日して日本で治療を受けて無保険の日本人の3倍に当たる医療費を請求されたとして、中国人女性の遺族が10日、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)に日本人との差額分の支払い免除を求める訴訟を大阪地裁に起こした。「国籍を理由とした差別だ」と主張している。
訴状によると、女性は日本にいる家族に会うため、2019年に短期滞在で来日。新型コロナウイルス禍で帰国できなくなり、特定活動の在留資格で滞在した。22年1月、センターでがんの診断を受けて入院したが、国民健康保険に加入できずに自由診療となった。1カ月余りで退院し、帰国後の23年2月に死亡した。
医療機関は診療報酬の点数に基づき医療費を請求している。1点10円が通常で、患者が公的医療保険に加入していれば1点につき1~3円の負担となる。無保険の場合は1点10円で算定されるのが一般的だ。
センターは女性に1点30円で診療報酬を算出し、約675万円を請求。女性側は無保険の日本人と同等分の約225万円を病院側に支払い、それ以上の支払い義務はないと訴えている。
厚生労働省によると、自由診療の治療費は各病院の判断に委ねられている。ただ、無保険の外国人の場合は通訳といった受け入れの体制整備や不払いリスクの問題もあり、1点20~30円で請求している例もあるという。
センターは「国籍による差別ではなく、公的医療保険に加入しているかで判断している。価格設定は周辺の病院に合わせている」と話した。【岩崎歩】
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