Pexels-pixabay

<食事時間と死亡リスクの関連を、20年にわたる追跡調査が示した>

食事を遅らせること、特に高齢者が朝食を遅らせることは、うつや疲労などの健康問題のサインであり、早死ににつながる──

そう結論づけたのは、マス・ジェネラル・ブリガム(Mass General Brigham)の研究チームだ。42歳から94歳の成人2945人を20年間にわたって追跡調査し、食事時間、生活習慣、血液サンプル、健康状態などを分析。


 

その結果、加齢とともに朝食や夕食の時間が後ろ倒しになり、1日の中で食事を取る「時間の幅」が狭くなる傾向があった。

中でも、朝食を遅らせていた人々は、調査期間中の死亡リスクが高まっていたという。

本論文の筆者で栄養学者のハッサン・ダシュティ博士は次のように述べる。

「今回の結果は、『朝食が1日の中で最も重要な食事』ということを意味します。特に高齢者にとっては、規則正しく一貫した食事時間を維持することが、健康的な加齢に良い影響を及ぼすのです」

食事時間の変化は、高齢者の健康全体に影響を及ぼすサインであり、場合によっては影響を与える要因にもなりうるという。

また、いわゆる「夜型」の人々や睡眠の質が低い人、また食事の準備が困難な人は、より遅い時間に食事を取る傾向が強いなど、遺伝やライフスタイルも影響を与えていたことが判明した。

健康的な加齢には食事時間の調整が重要になる可能性があるとして、ダシュティ博士は次のように指摘する。

「患者や医療従事者は、食事時間の変化を身体的・精神的な健康問題の初期サインとしてとらえ、早期の介入に役立てることができるかもしれません」

朝食をどう変えるか

では、今回の研究結果を日常生活にどう活かすべきか。


 

英国サリー州にある「イッツミーアンドユークリニック(It's Me & You Clinic)」の院長で栄養士の資格も持つリマス・ガイゲ医師によれば、すべての高齢者がベリーやナッツを混ぜたオートミールのような重い朝食に適応できるわけではないという。

「これまでの診察経験を踏まえると、アーモンドバターを塗ったトーストやバナナなど、栄養価の高い朝食を摂った患者の方が、良好な結果を示しています。軽食であっても栄養バランスが取れており、高齢者が負担なくエネルギーを補給できることが重要なのです」

断続的断食は常に有効とは限らない

断続的断食(インターミッテント・ファスティング/Intermittent Fasting)や時間制限食(Time-Restricted Eating: TRE)が注目を集める中で、今回の研究結果は示唆的だ。

2020年に実施されたYouGovの調査では、1200人以上のアメリカ人成人のうち、56%が減量目的、54%が健康改善を目的として、何らかの形で食事習慣を変えたと回答している。

断続的断食には、確かな健康効果があることが長年の研究によって判明している。

しかし、この断食と食事を交互に繰り返す食事法、すなわち「何を食べるか」ではなく「いつ食べるか」を重視する方法は、年齢が重要になる可能性がある。


 

朝食時間を遅らせることが、健康上の問題や高齢者における死亡リスクの上昇と結びついているという今回の研究結果は、ファスティング(断食)を直接的に評価するものではないとした上で、ダシュティ博士は次のように述べる。

「食事を意図せずして遅らせるという、いわゆる断食状態は、高齢者にとって必ずしも好ましいとは限りません」

【参考文献】
Dashti, H. S., Liu, C., Deng, H., Sharma, A., Payton, A., Maharani, A., & Didikoglu, A. (2025). Meal timing trajectories in older adults and their associations with morbidity, genetic profiles, and mortality. Communications Medicine, 5(1), 385.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。